【ワシントン=坂本一之】国際通貨基金(IMF)は16日、世界経済見通しを公表し、2024年の世界全体の実質成長率を3・2%とし、今年1月時点から0・1ポイント上方修正した。不動産不況の長期化する中国については、24年の成長率を据え置きの4・6%とし「問題を抱えている不動産部門に関する包括的な対策を取らない限り、鈍化する可能性がある」と指摘した。
先進国の成長率は24年を0・2ポイント引き上げ1・7%、25年は据え置きの1・8%とした。日本は24年が据え置きの0・9%、25年は0・2ポイント上方修正の1・0%と予測した。
中国に関しては24年を4・6%、25年を4・1%と1月時点と同じ成長率を見込んだ。不動産部門の問題で成長が鈍化した場合には「貿易相手国が打撃を受ける」と警鐘を鳴らした。
ウクライナ侵略で日米欧などが経済制裁を続けるロシアを巡っては24年を0・6ポイント上方修正し3・2%、25年は0・7ポイント引き上げ1・8%を見込んでいる。
世界経済の成長ペースは「歴史的水準に比べると低い」と指摘。その理由として「依然として高い借り入れコストや財政支援の後退」などの短期的要因に加え、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)、生産性の伸びの弱さ、地経学的分断の悪化」といった長期的要因があると説明した。
世界の総合インフレ率は年平均で23年の6・8%から24年に5・9%、25年に4・5%に鈍化するとの見通しを示した。
世界経済の下振れリスクとしてロシアによるウクライナ侵略や、イスラム原理主義組織ハマスとイスラエル軍の戦闘などによって物価が「再び急騰する可能性がある」と指摘した。
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