香港で民主化を求める、大規模な反政府デモが本格化してから5年、日本に住む香港の人など約100人が東京・新宿に集まり、デモ行進を行いました。
主催者は「民主化への戦いはまだ終わっていない」として、香港の外で抗議デモを継続していく決意を改めて語りました。
2019年6月9日 香港“100万人デモ”
5年前の6月9日。香港では刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案に反対する市民デモが行われました。主催者発表では100万人以上が参加しました。
しかしその後は「国家安全維持法」などが施行され、香港の民主活動家らが相次ぎ逮捕されるなどして、反政府的な言動への取り締まりが強化されていきました。
「今の香港では抗議ができない」
あれから5年経った今、香港の人は「当たり前が変わってしまった」と話します。
都内の抗議デモに参加 日本に留学している香港出身の大学生
「幼少期から、周りで天安門事件への追悼会や政府へのデモなど、みんながやってきたのを見てきましたが、2019年からそれらが不可能になってしまった。当たり前だった事が当たり前じゃなくなった」
民主化求める抗議デモ「日本にいる自分たちが続ける」
6月9日、“100万人デモ”から5年が経つのを機に、東京・新宿で香港出身者らによる、民主化を求める抗議デモが行われました。主催は、香港の民主化を目指す「Stand with HK @JPN」と「Lady Liberty Hong Kong」の2団体。行進の前に、主催者らは集まった参加者や報道陣に対し、「民主化を求める戦い」を続ける決意を語りました。
「Lady Liberty Hong Kong」代表 アリック・リーさん(37)
「自由と正義のための闘いは一朝一夕には実現しませんが、私達が諦めずに実施することで、必ず道が開かれます。世界中で戦争が起きている今、香港の闘争に関心を持っていただきたいです。香港デモはまだ終わっていません。私達はまだここにいます。必ず香港を取り戻します」
また、香港出身のパトリック・プーンさんも演説し、「中国政府に対し『国の安全を守る』という名目で、香港市民の『自由』を妨害するのをやめてほしい」などと訴えました。
日本での活動にもリスク
日本在住の香港出身者など約100人が参加した今回の抗議デモ。参加者らは「香港を取り戻せ」と書かれた旗を掲げ、香港の民主化運動の象徴である黄色の傘を差し、新宿周辺を行進しました。しかし、主催者らは香港の人たちにとって「日本での活動もリスクになってきている」と話します。
顔を出して実名で活動するウィリアムさんは「個人情報が漏洩した事で、香港に戻った際に政府に連行・逮捕される恐れがある」と懸念を話します。
「Stand with HK @JPN」ウィリアム・リーさん(30)
「日本では活動はできるんですけど、その代償として、『香港に戻らない』あるいは『戻ったら逮捕される可能性がある』ということを負わざるを得ない。すごく不自由な状態になっている。私みたいに、実名でやっている以上、香港に戻らないと決めてやってるのはいいですが、香港に戻る必要があるから、活動に参加しない。それが大多数なんです」
1時間以上続いた抗議デモでは、参加者の多くが身元が特定されないように、サングラスやマスクなどを着用していました。
香港の外で、「民主化への戦い」は続きます。
執筆者:TBS外信部 勝目恵
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