EU(ヨーロッパ連合)の議会にあたる欧州議会選挙の投票は加盟国ごとに実施され、9日の最終日には21カ国で行われます。EUの方針に懐疑的で勢いを増す極右や右派がどれほど議席を獲得するかが焦点です。
EUの議会選挙は6日から9日にかけて投票が行われ、720人の議員を選びます。
加盟27カ国の有権者はおよそ3億7300万人です。
この選挙は、EUの政策決定機関である欧州委員会のトップ人事に大きな影響を及ぼします。
現在の欧州委員会のトップ、フォンデアライエン委員長は、2期目の続投が有力視されていますが、政権運営は前途多難とみられています。
アメリカのニュースサイト「ポリティコ」が7日に発表した情勢調査では、フォンデアライエン氏が率いる中道右派の「欧州人民党」が173議席、中道左派の「欧州社会民主進歩同盟」が143議席を獲得すると予測しています。
フォンデアライエン氏を支持する2会派が合わせて316議席で、過半数の361議席には届かないと指摘していて、前回2019年の選挙同様、親EUの「緑の党・欧州自由連盟」や「欧州刷新」への協力要請が必要とみられています。
一方、現在、多数派を占める親EUの会派に対する不満の受け皿として、EUの統合やウクライナへの支援に懐疑的で、移民排斥などを訴えている極右や右派がさらに躍進するとみられています。
「ポリティコ」は、各国の極右政党などで構成する「アイデンティティーと民主主義」が67議席、右派の「欧州保守改革」が76議席を獲得すると予測していて、前回の選挙より議席を増やし、欧州議会でおよそ20%を占める勢いです。
極右や右派が躍進する背景には、EU内外での問題に親EUの政治勢力が対応できていない点が挙げられます。
ロシアによるウクライナ侵攻以降のエネルギー価格の高騰や難民・移民の増加、「支援疲れ」に加えて、EUの環境政策による農家からの反発など問題は山積しています。
極右や右派が躍進すれば、EU議会の勢力図が変わるだけでなく、欧州委員会などの主要な人事が変更される可能性もあり、EUのこれまでの方針や政策決定プロセスへの影響もあるとみられます。
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