対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIの社員らが4日、人類絶滅につながる可能性もあるとされる先端AI技術のリスクについて、外部への告発を認めるよう求める書簡を公開した。知的財産保護などを理由にした秘密主義を改め、AIのリスクを幅広く社会で共有するよう訴えている。
社員らは書簡で、先端AIには、虚偽情報の拡散や制御不能に陥ったAIによる人類滅亡の可能性まで幅広いリスクがあると指摘。科学者や政府と連携して対処する必要があるにも関わらずAI開発企業は重要情報を公開しておらず、守秘義務契約によって社員による告発も禁じていると問題視した。
そのうえで、企業秘密や知財の適切な保護を前提に、一般社会や規制当局、専門家などに自社技術のリスクについて懸念表明するのを、社員に認めるよう要求。自社批判を禁止する契約を事前に結ばせたり、内部告発した社員への制裁措置を講じたりしないよう求めた。
書簡は「政府による監視が効かない中、現役社員や元社員は一般市民に対して説明責任を果たせる数少ない人間だが、広範な守秘義務契約によって懸念を公にできない。社員の中には(企業による)報復を恐れる者もいる」と指摘した。
書簡には、オープンAIの現役社員4人と元社員7人が署名した。元社員のうち5人は実名。グーグルのAI関連子会社の社員2人も名を連ねた。【ワシントン大久保渉】
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