中国で学生らによる民主化運動が武力弾圧された天安門事件から35年を迎えた4日、香港では犠牲者を追悼する大規模集会が今年も開催できなかった。かつて数万~数十万人の市民が集まる追悼の「聖地」として知られた香港島のビクトリア公園では、昨年に続き親中派団体が中国産品に関するイベントを開催。警察当局も厳戒態勢を敷いて動きを封じ込めた。
ビクトリア公園では、事件翌年の1990年から追悼集会が毎年開かれてきた。だが、2020年には新型コロナウイルスの感染防止を理由に開催が認められず、主催者団体も当局の圧力で解散。23年にコロナ規制は解除されたが、公園では親中派団体のイベント開催が続き、追悼集会は事実上禁止されている。
今年の親中派団体のイベントは1~5日で、会場には昨年を上回る200以上のブースが設けられ、中国各地の特産品を販売している。公園内や付近の繁華街・銅鑼湾(どらわん)では多くの警察車両が配備され、大勢の警官がパトロールに当たった。イベント会場に市民が入る際には手荷物検査を求められた。
香港警察は5月末、事件の犠牲者追悼を巡るインターネット上の投稿に「扇動の意図」があったとして、3月に施行されたばかりの国家安全条例に違反した疑いで民主活動家ら6人を逮捕した。香港メディアによると、その後も天安門事件を扱う書籍を販売する本屋前に複数の警官が配置されたほか、3日夜に公園付近で無言でパフォーマンスを行おうとしたアーティストが一時拘束されるなど、追悼の動きが徹底して封じ込められた。
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