写真はイメージ=ゲッティ

 2020年の米大統領選をめぐり、当時のツイッター(現X)で偽ニュースの拡散に大きな影響力をもった少数のユーザーは、保守的でやや高齢の女性の割合が高かったとする分析をイスラエルの研究グループがまとめた。「ソーシャルメディアを操ろうとするのは、若いオルタナ右翼の男性ハッカー」というステレオタイプを覆す成果だとしている。米科学誌サイエンスで論文を発表した。

 論文によると、研究グループは前回の大統領選が行われた20年8~11月にツイッターを利用していた登録有権者約66万4400人のデータを分析。このうち0・3%に相当する2107人が、調査対象者たちの間で共有された大統領選についての偽ニュースの80%に関与していることが明らかになった。

 「スーパーシェアラー(拡散者)」と名付けられた、これらの少数ユーザーの影響力は大きく、調査対象者の5・2%に直接フォローされていたという。

 スーパー拡散者の平均年齢は58・2歳で、対象者の平均より17歳高かった。また約6割は女性で、共和党支持者(64%)が民主党支持者と支持政党なしを大きく上回った。地域別では保守的で知られるテキサス、フロリダ、アリゾナ各州に多く分布し、教育水準に比べて所得が高い特徴も浮かび上がった。投稿のタイミングに自動化を示すパターンはなく、手作業で繰り返しリツイートし続けていた可能性が高いという。

 ソーシャルメディア上での偽情報の拡散をめぐり、ごく少数のユーザーがネットワーク上で「ハブ」の役割を果たしていることは過去の研究で知られていたが、大規模調査で属性の特徴を明らかにした例は珍しい。

 20年当時の米国政治において有力なプラットフォームだったツイッターは22年に実業家のイーロン・マスク氏が買収し、社名をXに変更した。研究グループは、サービス仕様変更などに伴うユーザー層の変化は、スーパー拡散者にも影響を与えている可能性があると指摘している。【ニューヨーク八田浩輔】

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