木原稔防衛相は2日、訪問先のシンガポールで米国のオースティン国防長官と約30分間会談した。ミサイル発射が相次ぐ北朝鮮や海洋進出を強める中国を念頭に、日米同盟の抑止力・対処力強化に向けて緊密に連携することを確認した。
両氏は、日本の南西地域で自衛隊と米軍が共同訓練などを通じてプレゼンス(存在感)を拡大していく重要性で一致。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の着実な進展に向けて協力することも改めて確認した。オースティン氏は、日韓両政府が途絶えていた防衛当局間の交流再開で1日に合意したことに対し「日韓協力の進展を歓迎する」と表明した。
中国軍が5月に台湾を包囲する形で軍事演習を実施したり、東シナ海の沖縄県・尖閣諸島周辺でも中国公船が活動を活発化させたりしていることが念頭にある。米軍は中国の軍事力への対抗策として、部隊を分散させて機動的に運用する戦術を採用しており、南西地域の自衛隊基地や設備の活用を重視している。
防衛装備品の産業基盤強化を巡っては、米国がインド太平洋地域の同盟・同志国内でサプライチェーン(供給網)を強化する方針を示しており、木原氏は会談後、同行記者団に対し、支持すると表明。自由で開かれたインド太平洋の実現に向け「地域のパートナーとの協力強化を引き続き推進していくことも確認した」と語った。【シンガポール中村紬葵】
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