バイデン米大統領=米東部デラウェア州で5月24日、AP

 国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ地区の最南部ラファでの戦闘停止を命じたことについて、米国務省の報道担当者は24日、毎日新聞の取材に「我々のラファに関する立場は明確で一貫してきた」とだけ述べ、ICJの命令に関する評価は避けた。ラファへの侵攻に反対しつつ、同盟国であるイスラエルの孤立を避けるというバイデン政権の難しい立場が浮き彫りになっている。

 バイデン政権はこれまで、多数の死者が出ることが予想されるラファへの大規模侵攻について明確に反対してきた。人口密集地への侵攻を「レッドライン」に設定し、これを越えた場合は一部の武器の供給を停止するとまで明言した。だが仮に武器支援を停止すれば、野党・共和党など国内のイスラエル支持派から激しい反発を受けるのは必至だ。

 国際刑事裁判所(ICC)が20日、イスラエルのネタニヤフ首相とハマスの指導者らの逮捕状を請求したと発表した際には、バイデン政権は「イスラエルとハマスを同列に扱うのはおかしい」とイスラエルを擁護し、国際的な孤立の回避を図った。

 ただ、今回のICJの命令に対してもイスラエルを擁護すれば、今度はイスラエルの軍事作戦拡大に反対する国内の左派や若年層から批判されるほか、良好な関係を保つアラブ諸国との間にも亀裂が入る。

 イスラエルが今後、ラファ侵攻を継続した場合、この問題について国連安全保障理事会で議論される可能性がある。その場合、米国はこれまでと同様にイスラエルを支持することができるのか。今後の対応に注目が集まる。【ワシントン松井聡】

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