中国軍は23日、台湾を取り囲む形で陸海空軍などによる軍事演習を始めたと発表した。24日までの予定。台湾の頼清徳総統（民進党）が20日の就任演説で「現状維持」を表明しつつも、中台は「互いに隷属せず」などと主張したことを事実上の独立主張とみなし、対抗措置に踏み切った。台湾総統の就任直後に軍事演習を実施するのは異例だ。
中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区の報道官は23日、「（演習は）『台湾独立』勢力への強い懲罰であり、外部勢力による干渉と挑発に対する重大な警告だ」と表明した。
台湾海峡や台湾本島の北部・南部・東部のほか、台湾が実効支配する金門や馬祖などの離島周辺の海空域が演習区域として指定された。核ミサイル部隊を管轄するロケット軍も参加。海空軍の合同パトロールや戦場の制圧、目標の精密打撃などの演習を重点的に行い、部隊の実戦能力を検証するとしている。
国営中央テレビは、軍事演習とする映像で、戦闘機に乗り込む兵士や海上を航行する艦艇の様子を放映した。対潜水艦訓練も行ったという。中国海警局も23日、福建省の沖合で演習などを行ったと発表した。
台湾国防部（国防省に相当）は23日、談話を発表し「非理性的な挑発で、地域の平和と安定を破壊する行動だ」と反発したうえで、「（中国の）横暴な本質を浮き彫りにしている」と批判した。海空軍などを派遣し、ロケット軍の動きなどを監視しているという。
頼氏の就任演説について、中国で台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の報道官は21日、「『独立の告白』だ」と非難し、「外部勢力と結託して『独立』を挑発した民進党当局に対し対抗措置を講じ、処罰しなければならない」と主張していた。
中国軍は2022年8月、ペロシ米下院議長（当時）の台湾訪問に反発し、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施。周辺海域に弾道ミサイルを撃ち込んだ。ただ、今回の演習規模は当時と比べると抑制的とみられる。【北京・岡崎英遠】
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