米連邦下院の監視・説明責任委員会で16日、共和党・保守強硬派と民主党・急進左派の女性議員が互いに容姿をけなし合う一幕があった。11月の大統領選に向けて2大政党の対決色は強まっているが、連邦議会内からも左右両極の低俗なののしり合いを嘆く声が上がった。
委員会の議題は、資料提出を拒んだガーランド司法長官の責任追及だった。下院多数派の共和党は、民主党のバイデン大統領が過去の機密文書持ち出し事件を巡って特別検察官の聴取を受けた際の録音の開示を要求したが、「将来の捜査に支障が出る」などとして拒否されていた。
ところが、共和党・保守強硬派のグリーン氏は、トランプ前大統領の裁判を担当する判事の家族と民主党議員との関係を追及する発言を開始。民主党・急進左派のクロケット氏が「ガーランド氏と何の関係があるのか。何のために委員会を開いているのか分かっているのか」と横やりを入れた。
これに対して、グリーン氏は「あなたこそ、分かっていないんじゃないの。(長い)つけまつげで、文書もちゃんと読めなくなっているのでしょう」と反撃。すると、クロケット氏の同僚のオカシオコルテス氏が「よくも他人の外見を攻撃できるわね」と怒り、撤回を求めた。「傷ついたの?」とグリーン氏がからかうと、オカシオコルテス氏は「良い子だから、遊んじゃダメよ」と切り返した。
コマー委員長の差配でグリーン氏の発言は取り下げられたが、謝罪は拒んだ。するとクロケット氏は「この委員会で、脱色した金髪で体格がムキムキの誰かについて話したとしても、人格攻撃にはならないってことですね?」とグリーン氏の容姿をからかいながら、委員長に確認を求めた。これに対して、グリーン氏が抗議。オカシオコルテス氏も再び加わって、議場は3人の金切り声が飛び交い、コマー氏が「誰が何を言っているのか分からない」と嘆く場面もあった。
共和党のジョンソン下院議長は17日に「我々は感情を抑え、仕事をしなければならない」と苦言を呈した。委員会に出席していた民主党のポーター下院議員も「意見の相違は民主主義の一部だが、議会のこのような混乱は米国にふさわしくない」と批判した。【ワシントン秋山信一】
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