中国を訪れているロシアのプーチン大統領が、習近平国家主席と会談しました。
中国・習近平国家主席:「新しい道のりの中、ともに信頼できる良い隣人、良い友人、良いパートナーになる。そのことを願っています」
ロシア・プーチン大統領:「現在の世界情勢において、我々の協力は安定要因の一つです。ともに正義の原則と、多極化の現実を反映し、国際法に基づく民主的な秩序を擁護しています。二国間の発展の弾みとなることを期待しています」
プーチン氏が、大統領として中国を訪れるのはこれが19回目。今回は“正念場”といえそうです。この訪中で、中国からさらなる支援を引き出せるかが、5期目のプーチン政権の今後を占う重要なポイントとなるからです。
今回の随行者を見ると、製薬会社やナノテクノロジー企業の社長までいます。それだけ、広い分野で経済的連携を進めたいのかもしれません。
そして、今回のキーパーソンといえるのが、アンドレイ・ベロウソフ氏。先日、突然、任命された元経済学者という異例の肩書を持つ国防相です。実は、4年前から、中国経済界とのパイプ役を担ってきた人物。
ロシアの国内経済は、軍需産業に依存する“戦時経済”となっています。ベロウソフ氏がこの場にいることは、軍事と経済を一体化させた包括的な連携を中国と進めたいという思惑があるとみられます。
首脳会談で、両国はさまざまな分野で関係を強化していくことで一致しました。ただ、両首脳の言葉からは、温度差もみえてきました。
『水魚の交わり』。水がなければ魚は生きていけないという故事です。いま、ロシアにとっての中国の存在は“水”に他なりません。
ロシア・プーチン大統領:「二国間の貿易額は、去年、約25%の増加で、2270億ドルにも達しました。中国は、貿易・経済分野における我々の主要なパートナーです」
その貿易の裏の部分。ミサイルや無人機の開発に必要な小型電子部品をみると、ロシアに流れてくるものの9割を中国企業が供給しているともいわれています。
欧米は、多大な損失を出したロシア軍が、中国の支援によって再建しているという見方もしています。
ロシアにとっては、ウクライナとの戦争を続けるうえで、中国の支援が不可欠。逆に中国にとってみれば、莫大な利益を生み出す金の鶏です。
ロシアでは、欧米の企業が撤退した跡地には、中国企業が軒を連ねています。ロシアが孤立している状況は、中国にとって漁夫の利が得られる機会です。
両国が“結びつきの強化”で一致するのは当然の流れ。アメリカ主導の国際秩序には、中露で対抗していくという姿勢も一致していました。
ただ一方で、こんなズレも。
ロシア・プーチン大統領:「二国間の貿易・投資関係を深めたのは、決済を自国通貨に換えるための共同措置です。商取引におけるルーブルと人民元のシェアは、すでに90%を超えています」
中国総局・李志善記者:「今回の最重要議題である、経済の結びつきについて、プーチン大統領は、ロシアと中国の貿易の約90%が自国の通貨で決済されていると強調していて、習主席は、その点について、慎重に言葉を選んでいました。この話は、中国国営テレビをはじめ、中国メディアでは、目立って報道されていません。捨て身のロシアと長期的視野に立つ中国との間で、温度差が感じられました」
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