宇宙人も地球人も飯野に集まれ――。かつてUFO(未確認飛行物体)の目撃情報が相次いだ福島市飯野町は長年、UFOを生かした地域活性化に取り組んできた。これを市全体の官民連携で盛り上げようという「UFOの里づくり推進委員会」が15日発足した。
2008年に福島市と合併した旧飯野町では、1970年代から町北部の千貫(せんがん)森(標高462メートル)周辺でUFOの目撃情報が相次いだ。これを生かして92年、千貫森の中腹に「UFOふれあい館」(同市飯野町青木)を開館。日本でのUFO研究の第一人者、荒井欣一さん(02年死去)から寄贈された米中央情報局(CIA)の文書のコピーなどの資料約3000点などを所蔵する。
21年には同館に「国際未確認飛行物体研究所」を設立。月刊「ムー」の三上丈晴編集長(55)を初代所長に迎え、世界中のUFO目撃情報を収集して分析し「UFOの可能性が極めて高い」写真や動画を公開するなどの活動を展開している。
だが、毎年6月24日の「UFOの日」に開催するなどの単発イベントの盛り上がりは局地的で、UFOにちなんで商品開発したこけしやクラフトビールなどもすぐ売り切れてしまい、広がりを欠くのが悩みの種だったという。そこでUFOを「福島市ならではのキラーコンテンツとして育てる」ことを目指して推進委を設立した。
15日に市飯野支所であった初会合で、委員長に就いた木幡浩市長ら委員はサングラス姿で集合。今年度の活動として、新たなロゴマークを住民のアイデアで作成したり、キャラクター「正太郎」を活用したり、福島市唯一の酒蔵「金水晶酒造」と連携して宇宙から帰還した酵母で日本酒を醸造したりと、地域ぐるみで取り組みを進めることを確認した。
事務局を務める高橋義成・市地域共創課長(59)は旧飯野町職員で「UFOには思い入れがあります」。腹案として、旅館の一室を宇宙をイメージしたコンセプトルームにしたり、特撮を生かした地域活性化に取り組む須賀川市とコラボしたりするなどの構想を描く。
委員の関健一・飯野町自治振興協議会長(67)はUFOのネクタイを締めて会合に臨み、「30年間、UFOのまちづくりに取り組んできたので、これが県外に広がってくれれば」。飯野まちづくり研究会の阿曽隆一会長(54)は「相手は宇宙なので、こちらも地域ぐるみで大きなムーブメントを起こしたいですね」と期待していた。【錦織祐一】
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