福岡高裁宮崎支部、宮崎地裁、宮崎家裁=宮崎市で、吉田航太撮影

 宮崎交通(宮崎市)のグループ会社へ出向中の同市の男性(当時37歳)が突然死したのは過労が原因などとして、妻ら遺族が同社に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、宮崎地裁であった。後藤誠裁判長は業務上の負荷と死亡の因果関係を認め、同社に約3500万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2003年6月、同社からグループ会社(当時)の「宮交ショップアンドレストラン」へ出向。12年5月未明、福岡出張からの帰宅後に心停止を起こして倒れているのを家族が見つけ、救急搬送されたが死亡した。

 男性は死亡するまでの半年間で時間外労働が毎月45時間を超え、平均約56時間に達していた。後藤裁判長は時間外労働が「相当程度の疲労を蓄積させるに足る」と指摘。約1週間で3回の県外出張やクレーム対応で男性に強い負荷が集中したとし、死亡との因果関係を認めた。さらに会社側が労働時間を適切に把握する義務を怠ったとした。

 遺族は14年に労災保険給付の不支給処分取り消しを求める訴訟を起こし、17年に業務起因性を認める判決が確定している。

 男性の妻は「会社は判決を受け止め、働いている社員を大事にしてほしい」とコメントした。宮崎交通は「判決内容を精査した上で今後の対応を検討する」としている。【塩月由香】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。