車に気をつけながら横断歩道を渡る児童ら=栗東市小野で、菊池真由撮影

 大津市大萱6の県道交差点で車同士の衝突に巻き込まれ、散歩中の保育園児ら16人が死傷した事故は8日、発生から5年を迎えた。事故を教訓に行政や警察は交通安全対策に取り組んで来た。長年、交通事故原因などの分析を続けている福山大の関根康史准教授は「相手は自分を認知しているだろうと相手がしてくれることを期待するのではなく自分から事故を避けること」と強調する。【菊池真由】

 事故現場となった歩道脇のフェンスには5年がたったこの日も多くの花束が供えられていた。献花の前で手を合わせ歩いていた大津市内に住む男性(59)は「いつもこの通りを通るときは手を合わせる。(事故を防ぐために)子どもの見守りを率先してやってもらいたい」と訴えた。

 県警交通企画課などはこの日、栗東市立葉山東小学校前(栗東市小野)の県道交差点で通学路交通安全指導強化日に実施する児童の見守り活動を行った。警察官らは交差点の前などに立ち、集団登校する児童らに「おはよう、気を付けて」と声を掛けながら見守った。同課の芦田武信総括管理官は「大切な子どもの命を守るのは我々に課せられた責務。交通事故防止対策を着実に推進して参りたい」と語った。

「キッズゾーン」設置は停滞

 事故の再発防止に向けた取り組みが継続される一方、保育園や幼稚園周辺の交通安全向上が期待された「キッズゾーン」の設置は停滞している。

 大津署は昨年度、大津市などと連携し、大津市内の公立小学校全25校の通学路点検を実施し、危険箇所の拡幅工事なども行った。また、保育園の外を散歩する園児らに同行する交通安全指導も行っている。

 保育園などの近くであることをドライバーに知らせて速度低下を促す「キッズゾーン」の県内の設置施設数は、4月1日時点で大津市が94施設、草津市が31施設、米原市が4施設の計129施設となっており、2022年から1施設しか増加していない。キッズゾーンを設置していない理由について他市町は、「路面注意表示や注意喚起看板などを設置している」「路側帯を設置している」などとしており、必要性について捉え方が異なっている。

 三日月大造知事は7日の定例記者会見で「交通安全対策はさまざまな対応をとっているが全てが完了しているわけではない。今後も不断の努力を積み重ねていきたい」と話した。

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