8日未明、東京・新宿区のタワーマンションで、25歳の女性を殺害しようとした疑いで、和久井学容疑者(51)が現行犯逮捕されました。

平澤俊乃さん(25)は、搬送先の病院で死亡が確認されました。首や腹などに、数十カ所の刺し傷があったそうです。

近くの住民:「尋常じゃないくらい『誰か助けて』と。その声で目が覚めて。男の人が誰かに蹴りを入れていて、刺した人は『おれはストーカーじゃねぇぞ』と。女の子は叫んでいたが、途中から聞こえなくなって。助けに加わった人が叫んでいた『つけ回されていたみたいだ』と」

男は、前日の夜から待ち伏せしていたとみられます。女性がマンション1階のコンビニに立ち寄った際に声をかけたところ、走って逃げて、大声を出されたので刺したと話しているということです。

捜査関係者によりますと、男は、果物ナイフ2本を所持し、女性を刺して、1本目が折れたため、2本目も使ったとみられます。「体を傷だらけにしようと思って刺した」と供述しているといいます。

現場は、西新宿の一等地にそびえ立つ60階建てマンション。7年前、国内最高階数のマンションとして売り出されました。亡くなった女性は、このマンションの住人だったことがわかっています。

男は、取り押さえられたときに、こう叫んでいたといいます。
同じマンションの住民:「『警察に行っただろ』『相談しただろ』と言っていて、『お金だまし取られた』みたいなことは聞こえた」

容疑者の父親です。
和久井容疑者の父親:「『川崎市の和久井学(51)』だなんて出ていたから、びっくりしていた。(Q.きのう家を出て出て行って、そのまま)出て行くとき『行って来るよ』と。『おう、気を付けて』と」

和久井容疑者は、両親と3人で神奈川の川崎市で暮らしていました。今回の事件との関連はわかりませんが、女性とのトラブルを抱えていたようです。

和久井容疑者の父親:「前からもめていた。(Q.女性と)うん。バイクも車も売って金にして、金を渡したら別れ話になって。何千万だかわからないけど。『結婚する』なんて言っていた。『(相手は)良い子なんだから』と」

こうした話は、あくまで和久井容疑者の言い分ですが、その当時、こんな投稿をしていました。
和久井容疑者のFacebookから:「16年間、大事にしてきたNRの嫁ぎ先が決まりました」
和久井容疑者のFacebookから:「20年9カ月乗ったNSXを手放しました」

そして同じころ、警察沙汰に。
和久井容疑者の父親:「ストーカーで、ちょっとあれしてね。(Q.東京から警視庁が)5〜6人で来たよ。(Q.それが3〜4年前)うん」

その一件とのつながりはわかっていません。ただ、和久井容疑者は亡くなった平澤さんと4年前に知り合ったと供述しています。
警視庁によりますと、和久井容疑者は、平澤さんが経営していた飲食店の客で、去年6月までは、自宅や店に近づかないようストーカー規制法に基づく、禁止命令が出されていたということです。

和久井容疑者は、平澤さんについて「1000万円以上の金を返してほしいと思って会いに行った」と話していますが、警視庁は、本当に現金での貸し借りがあったのかも含めて捜査する方針です。


◆事件を取材する社会部の石出大地記者の報告です。

たった、いま新たな情報が入ってきました。警視庁は、逮捕された和久井容疑者が平澤さんに対するストーカー規制法違反の疑いで、これまでに逮捕されていたことなどを明らかにしました。

警視庁によりますと、3年前の12月に平澤さん側から「店の客でしつこく言い寄られたり、自宅で待ち伏せされた」など、和久井容疑者に関する110番通報があり、警視庁が口頭で注意を行いました。これが初めての対応となります。しかし、翌年にも、店を出入り禁止にしたものの、再度、待ち伏せされたなどとの通報があり、ストーカー規制法に基づく注意を行いました。ただ、和久井容疑者が、数日後に再び店で待ち伏せをしていたことを受け、警視庁は、和久井容疑者をストーカー規制法違反の疑いで逮捕しました。
20日間の勾留ののち、起訴猶予処分となり、釈放されましたが、ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けました。去年6月に禁止命令は解除され、平澤さんの意向もあり、警視庁の対応は終了していました。
しかし、再び和久井容疑者が平澤さんに接触し、事件が起こりました。

警視庁は9日に送検する際に殺人容疑に切り替えて、今後、調べることにしていて、事件に至った経緯を詳しく調べています。

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