懇談会中にマイクが切られた問題を巡り、伊藤環境大臣が水俣病被害者団体に直接、謝罪しました。

■“マイク音消し”環境大臣が謝罪

 結局、大臣自らが再び熊本を訪れました。

伊藤信太郎環境大臣
「5月1日の皆様との意見交換会で、環境省の者が発言中にマイクの音を絞って、本当に申し訳ないことがありました。心からおわび申し上げたいと思います」

水俣病被害者互助会 佐藤英樹さん
「本当に水俣病の被害者のことを真剣に思ってるなら、最初に(マイクを)切られた山下さん、その後、切られた松崎さんの思いを受け止めたら、ああいうことはできないと思う」

 伊藤信太郎環境大臣、8日朝はにこやかな表情も見せていました。

伊藤信太郎環境大臣
「(Q.きょうの熊本訪問で、どういった気持ちを伝える?)12時から記者会見いたしますので」

 ところが、その正午からの会見では様子が一変します。

伊藤信太郎環境大臣
「水俣病は環境省が生まれた原点です。ですので…環境省の大臣になって、そのことをいかに大切に思っているかということをお伝えしたいと思います。きのう、事務方から初めて環境省側がマイクを絞ったということを聞きました」

■水俣病犠牲者らとの懇談会で

 大臣が7日になって初めて知ったという問題が起きたのは1週間も前のこと。水俣病犠牲者を追悼する慰霊式に続く、環境大臣と患者・被害者団体との懇談の場です。

水俣病被害市民の会 山下善寛代表
「水俣病被害の深さ、広さを究めつくしていない。チッソは患者に対する責任…」

木内室長
「話をおまとめ下さい」

山下善寛代表
「もうすぐ終わりますので」

 司会を務めた環境省の職員が被害者側の話を遮り…。

山下善寛代表
「2014年の3月に出された…」

木内室長
「お話をおまとめに」

山下善寛代表
「これは最高裁判決に違反するし…3分あるんでしょ」

木内室長
「はい、3分経っています」

 さらには話の途中でマイクを切ったのです。

山下善寛代表
「早急にこれを撤回していただきたい」

 それも1度のみならず、2度です。

水俣病患者連合 松崎重光副会長
「会社が水銀を垂れ流さなければ、こういうことにはならなかったと、私はいつも家内と話していました」

木内室長
「話をおまとめ下さい」

参加者
「切られている、スイッチを切られている」

 隣の団体が自分たちの時間を譲ると、マイクの音量は戻りました。

参加者
「話を聞くって言って出てきた」
「入った、入った」
「マイクの音量の調整をしたのかどうかだけ確認させて下さい」

環境省職員
「不手際でございました。事務局の不手際でございました、申し訳ございません」

参加者
「不手際ということは、やったということだね。音量を絞ったということだね」

環境省職員
「事務局の不手際でございました、申し訳ございません」

 もちろん、伊藤大臣はその場で一部始終を見ています。

参加者
「本当に水俣の被害者のことを考えているなら、喋らせてやればいいのに」
「聞いてやれーな、大臣」

 ところが…。

参加者
「マイクを切ったことについて、どう思われます?」

伊藤環境大臣
「私はマイク切ったことについて認識していません」

■なぜ認識できず?大臣の説明は

伊藤環境大臣
「その不手際という意味を私はちょっと取りかねておりまして。それから、私自身はずっとマイクの音が絞られた後も、はっきり聞こえておりましたので」

 マイクを通した声と地声の違いにも気付かなかったということなのでしょうか。

 当日、マイクを切られた当事者は…。

山下善寛代表
「環境大臣も現場にいたわけですし、その日の司会を制止できなかった、指導できなかった環境大臣の責任はあるんじゃないかと」

 そもそも被害者側が話す時間として環境省が設定したのは1団体、わずか3分です。

佐藤英樹さん
「皆、素人なので、そんな簡単に3分の間で喋れって、水俣病のことが3分間で済むということはないんですね。被害者の声をしっかり聴くことが大事なのに、3分で終わらせてすぐ帰りたいような、あんな人だったら大臣にならなくて結構です」

 当日、自らの時間を譲った女性にも、もちろん訴えたいことがありました。

加藤タケ子さん
「あの場において、お隣の松崎さんが訴えてらっしゃるところに環境省の職員が来て、こちらにマイクを差し向けようとしても、そのマイクを取ることは人の心を持っていたらできない」

■被害団体の会見場に突然 環境省職員が謝罪

 団体側の会見の場に突如、当日、司会を務めた環境省職員が訪れました。

環境省 特殊疾病対策室 木内哲平室長
「関係の皆様のお気持ちを非常に傷付けたということについておわびを申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした」

 環境省は、被害者側の話が長引くので、去年の時点で3分を超えたらマイクを切る運用を決めたと説明しています。

水俣病被害者互助会 谷洋一事務局長
「去年の室長は海老名さんですよね。その時からマイクを切ろうという話になっていたということですか?」

木内哲平室長
「えっとですね…昨年も海老名室長から、昨年もそういう準備はあったと聞いておりますけど、切ったのは今回だけと聞いております」

谷洋一事務局長
「昨年からマイクを切ろうという算段を立てていたということですね」

木内哲平室長
「そういう準備もあったと聞いております」

 木内室長は7日夕方、記者に対して「伊藤大臣からの指示で直接、謝罪に向かうが日程は調整中」だと説明していました。

 また、その時点では伊藤大臣の謝罪は異例だとしていました。

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