今年1月の能登半島地震に続き、4月も愛媛・高知両県や台湾東部など国内外で大きな地震が相次いでいる。防災グッズへの関心が高まり、実際に買いそろえた人も多いのではないだろうか。だが災害用の備蓄品は、これから訪れる夏を前に見直すと、さらに効果的だという。確認するポイントを防災のプロに聞いた。
「見直しは夏や冬の季節の変わり目、今がちょうどよいタイミングです」。防災士の資格を持ち、防災グッズの販売などを手がける「防災防犯ダイレクト」(長野市)の佐藤有香さん(32)は、「半年に1度」の見直しを勧める。
夏に大切なのは熱中症対策と衛生対策だという。停電が起こると熱中症のリスクが高まるため、塩あめや経口補水液のほか、電気が使えなくても暑さをしのげる扇子やうちわ、ポータブル扇風機などが役立つ。あめを食べさせることが不安な乳幼児には、塩分タブレットやゼリーを薦める。
シャワーが使えない場合は、水なしで使えるドライシャンプーや汗ふきシートを多めに用意しておくことで汗やべたつきを抑え、体を清潔に保つことができる。
冬は防寒対策やインフルエンザなどの感染症予防が重要だといい、カイロやストールなどの防寒グッズを追加したり、マスクや消毒液を多めに用意したりするとよい。
季節に合わせた着替えの入れ替えも必要だ。子ども服やオムツは、子どもの成長に合わせてサイズを確認してほしい。
ローリングストックの勧め
NPO法人「日本防災士機構」総務課長の中野篤さん(46)は、備蓄品を日常生活で使用し、使った分だけ買い足して備蓄品の鮮度を保つ「ローリングストック」を勧める。缶詰や水は日常使いしやすく、「半年に1度の見直しとローリングストックを合わせれば二重チェックになり、備蓄品が減ったり古くなったりすることをより防げる」と話す。
見直しのタイミングで賞味・使用期限や電気機器の充電残量を確認するだけでなく、実際に非常食を食べてみたり、モバイルバッテリーや携帯トイレなどを使ってみたりすることも、いざという時の備えになるという。
「備蓄している非常食で満腹感は得られるのか。好みの味かどうか。子どもや高齢者も食べられる形状か。作る手順を理解できたか。実際に食べて、確認してみてほしい」と佐藤さん。特に子どもは月齢に応じて食べられる食材や形状が変わるため、こまめなチェックが必要になる。
モバイルバッテリーなどは買いそろえて安心してしまうケースが多いが、初期不良がないかや使用手順の確認も大切。中野さんは「いざという時に困らないために、見直しと同時に練習のつもりで使ってみることが大事。家族構成や年齢に応じて必要なものも変わるので、日常生活を振り返って、自分の家庭では何が必要か見直してほしい」と呼びかける。【近藤綾加】
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