住宅や事務所を狙う侵入窃盗の被害件数が増加傾向にある。警察庁によると、2023年の全国の侵入犯罪は前年比で約2割増加しており、兵庫県内でも23年下半期ごろから徐々に増え始めている。旅行などで不在にする際の防犯対策を専門家に聞いた。【木山友里亜、澤俊太郎】
県警によると、県内の侵入窃盗被害件数は新型コロナウイルスの感染拡大以降、減少傾向で、19年の2420件から22年には1324件に減少した。一方、23年は1446件となり、24年3月末時点で347件(前年同期比30件増)と増加傾向にある。担当者は「5類への移行など社会が落ち着きを取り戻し、人が外に戻り始めたことも要因の一つにある」とみる。
大型連休中などは家や職場が不在となりがちだ。「旭化成ホームズLONGLIFE総合研究所」の山田恭司主任研究員=1級建築士=は「窃盗犯は合理的に考え、留守の時に、周りに見つからず、壊しやすい場所などを選ぶ。そういった対象にならない環境づくりが重要だ」と指摘する。
ゾーンディフェンスが有効
山田さんは侵入窃盗対策のポイントとして、侵入されにくい工夫▽見守りやすい工夫▽留守に見せない工夫――の三つのポイントを挙げる。
侵入されにくい工夫は「ゾーンディフェンス」と呼ばれる対策だ。人目が付きにくい家の裏手などに近付けさせないように仕切り戸を設置したり、自転車を置いて進路を塞いだりすることが有効という。
見守りやすい工夫は周りの人に気付いてもらう可能性を高め、侵入時間を稼ぐ対策。具体的には窓の鍵を二つにしたり、市販の補助錠を窓に設置したりする。山田さんは「強い力でも開けにくい、突起で止めるタイプをなるべく上の方に取り付けるのが良い」と話す。
留守に見せない工夫は、タイマーで点灯するシステムの取り入れ、室内の1カ所を点灯させておく「居るふり照明」、新聞を止めてためておかないようすることなど。シャッターや小さな窓でもしっかり閉めることも重要だという。
山田さんは「防犯は面倒くささとの闘い。まずはきちんと鍵を閉め、シャッターを閉めて出かけること、『居るふり』をすることが大切だ」と注意を呼びかける。
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