徳島市の阿波踊りを主催する「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」(事務局・徳島市)が4月26日、2024年度の第1回会合を開いた。8月11~15日の今年の開催に向け、飲食店経営者らでつくるまちおこし団体「つなぐ阿呆(あほう)とくしま」理事の庄野浩司氏(50)を新委員長に選出。22年12月から続いていた委員長不在の状態が解消された。
庄野氏は阿波踊りの会場近くで飲食店を営む。有名連による阿波踊りのステージなどが楽しめる4月の恒例イベント「はな・はる・フェスタ2024」の実行委で事務局スタッフを務め、イベント運営に実績がある点などが評価された。庄野氏は「来場者や踊り手を含め、安心安全な運営を第一としつつ、阿波踊りを未来へつなぐための挑戦を続ける。委員と密に連携を取り、さまざまな意見をすぐに聞ける体制を作っていきたい」と抱負を述べた。
前回の阿波踊りでは、23年8月12日の開幕後、同14日に台風7号の接近により市が市内全域に「高齢者等避難(警報レベル3)」を発令、市内28カ所に避難所を開設して避難を呼び掛ける中で開催が強行された。最終日の15日は中止となったが、後藤田正純知事が閉幕直後の定例記者会見で「責任を取れる体制なのか」と実行委のあり方に疑問を投げかけた。
また前回、1人20万円の「プレミアム桟敷席」が建築基準法に違反した状態で開設された問題を巡っては、徳島県警が24年4月22日、同法違反容疑で阿波おどり実行委員長代行を務めていた男性を書類送検した。問題発覚後、桟敷席開設を実行委に提案したレジャー予約サイト運営会社「アソビュー」(東京)は桟敷席の観客に全額返金し、観光庁からの補助金約2000万円は不交付になった。実行委は今年の阿波踊りではプレミアム桟敷席の設置を見送る。
運営を巡る混乱が続いてきた経緯もあり、26日の実行委の会合では新委員長が決まるかどうかが焦点となっていたが、徳島市旅館組合出身の委員から庄野氏を推す声が上がり、全会一致で承認された。庄野氏は会合後、記者団に「他県の人に阿波踊りはもめているイメージが付いていて、いろんな批判や意見がこれからもあると思うが、まちの代表者として新しいチャレンジをしたい」と述べた。
4月18日付で徳島市長へ4年ぶりに返り咲いた遠藤彰良氏は、この日の会合に出席せず、事務局は「阿波踊りの主催者は実行委であり、市ではない」と説明した。遠藤氏はこれまで、23年夏の台風接近下での強行開催について「運営の責任者が明確でなかった」と批判。「悪天候や警報発令時の対応について(中止などは)最終的に市長が判断する」と発言しており、6月中に安全管理などに関する新ガイドラインを策定する方針だ。
4月17日付で退任した前市長の内藤佐和子氏は23年夏、実行委に中止を要請したが開催が決定されたと説明し、「市の意見を聞いてほしかった。中止させる権限がないのは課題だ」などと述べていた。【山本芳博】
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