2024年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞=毎日新聞社など主催)のグランプリに、宮城県岩沼市立玉浦小学校が選ばれた。東日本大震災後に生まれた児童たちが、被災者から学んだ知識や視点を防災マップづくりや避難訓練に生かすほか、南海トラフ巨大地震で被災する恐れがある高知県南国市と防災交流を続けるなど、継続的で多彩な活動が評価された。
仙台空港の一部が立地する岩沼市は震災の津波で市域の半分が浸水し、180人が死亡、1人が行方不明となり、6人が災害関連死と認定された。玉浦小も一部浸水し、上階が避難所となった。
年12回の防災学習では被災当時勤務していた教員らから話を聞き、総合的な学習の時間には学年ごとに校舎や通学路の防災マップなどを作製。昨年度は6年生たちが「防祭」と銘打ち、地域住民を招いた防災イベントを企画した。加藤かほる校長(55)は「交流を通じ、子どもたちの中に地域の方々の命を守る意識が芽生えた」と話す。姉妹都市である南国市の小学校ともオンラインや代表児童の訪問で交流し、地域のリスクや備えを伝えることで学びを深める。
玉浦小は年10回以上、避難訓練を実施し、付近の岩沼市立玉浦中、同市立東保育所との合同訓練では、避難先で居住地区ごとに分かれ、顔の見える関係を作っている。玉浦小の眞野太郎・安全担当主幹(49)は「若い教員たちも子どもたちと一緒に学ぶ機会になる。今後も子どもたちが主体的に活動できるよう、意見を取り入れ、地域などとの連携の輪を広げたい」と話した。【百武信幸】
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