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実は今、私たちの気づかないところで色々なデータが集められ、様々なところで活用されています。そこで今回は意外なデータについて解説してまいります。最新のデータで日本の「今」をアップデートしていきましょう。

■データによると「ネット炎上に参加する人は高収入」!?

若い人からご高齢の方まで今や幅広い世代にSNSは浸透しています。そんな中増えてきているのが、ネット炎上です。たくさんの批判が集まったり誹謗中傷されたり。炎上を恐れて、コメントするときは何度も見返して問題がないか確認する、そんな人が多いのではないでしょうか。炎上によって結婚が取り消しとなったり、中には企業の経営が傾く、そんなことも起きています。そのネット炎上についての意外なデータがあります。

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データによると「ネット炎上に参加する人は高収入」が多いそうなんです。

驚きですよね。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授が合計6万人を調査して、ネット炎上に参加する人はどんな人かを調べました。

その調査結果によると一度でもネット炎上に参加した経験がある人はわずかに1.1%。つまりは一部の人が何度も書き込んで炎上に参加している、ということがわかります。さらに参加者の7割が男性でした。

  

そしてネット炎上に参加する人としない人の年収を比べたデータがあります。

世帯年収で比べると、炎上に参加していない人が平均590万円なのに対し、炎上参加者は670万円と80万円も高くなっているんです。これは一体どういうことでしょうか。実は炎上に参加している人の役職を調べたデータもありまして、主任や係長クラス以上の人が多かった、つまりある程度出世している人が多い、という結果がでたんです。

でもなぜある程度の地位や収入がある人が炎上に参加するのか、不思議ですよね。

山口准教授の分析によると、こうした炎上に参加する人の原動力は「正義感」というんですね。それも「ひとりよがりの正義感」です。ある程度地位のある人が確固たる信念をもって「これが正しい!」「これは間違っている!許せない!」となる。そうなると、自分と考えの違う人に「正義の鉄槌」を下そうとする。そして炎上に参加する…そんなケースが多いと見られているんです。つまりごく一部の極端な人による個人的正義の押し付けではないか、そう山口准教授は分析しているんですね。

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■データによると「ひじきに含まれる鉄分は特別多くない!?」

■データによると「ひじきに含まれる鉄分は特別多くない!?」

さらにこんな驚きのデータもあります。ひじきというと鉄分の王様、たくさんの鉄分が含まれているというイメージありますよね。でもデータによると一概にそうとは言えないことがわかってきたんです。

実は昔はひじきの鉄分は実際多かったんです。乾燥ひじき100グラムあたり58.2mgありました。でも今は9分の1以下の6.2mgにまで減ってしまっているんです。

一体なぜでしょうか。

ひじきはそのままでは食べられませんから、一般的に売られているひじき(乾燥)はしっかりと下処理がされています。その際昔は鉄釜を使っていゆでていましたが、今はほとんどのものがステンレスの釜を使っているんです。実はひじきの鉄分の多くは下処理の際に鉄釜から溶け出したもの。なのでステンレスを使ったひじきにはほとんど鉄分が含まれていないんです。もちろん今も昔ながらの鉄釜を使って下処理をしたものも売られています。鉄分が気になる方はそちらを買われた方がいいかもしれません。

ただしひじきにカルシウムや食物繊維がたくさん含まれています。栄養豊富な食材であることには変わりありませんから、是非これまで通り食べていただきたいと思います。

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■データによると「日本のプラスチックリサイクルはリサイクルじゃなかった!?」

■データによると「日本のプラスチックリサイクルはリサイクルじゃなかった!?」

皆さんペットボトルのリサイクル、ちゃんとやっていますか?フタを外してフィルムを外して中身を洗ってまとめて出す…そんなリサイクルをしている人が多いのではないでしょうか。でもそのペットボトルがどうリサイクルされているのか、皆さんご存知ないのではありませんか?

実本のプラスチックごみのリサイクル率は約87%と言われています。しかしその多くは燃やされているんです。つまり燃料として使われているんですね。

日本ではプラスチック焼却時に出る熱を発電などに利用しています。これをサーマルリサイクルと呼んでるんですが、実はこれは日本独自の区分で、海外ではリサイクルとみなされていないんです。

海外でリサイクルと認められているのは砕いて溶かして新たな製品に作り直す「マテリアルリサイクル」と化学分解して様々な原料にして再利用する「ケミカルリサイクル」というのが一般的。なので海外の定義にあてはめると日本のプラスチックリサイクル率は約25%程度、となってしまうんです。87%からだいぶ下がってしまいますね。

では今我々がやっているリサイクルには意味がないのか、というとそういうわけではもちろんありません。燃料として活用されているのは事実ですし、実際これだけ分別をして活用している、これは日本人のリサイクル、そして環境への意識が進んでいるという意味では大変意味のあることだと思います。

データを見ていくと色々なことがわかります。データとして利用されるばかりではなく是非皆さんもデータを上手に利用していただければと思います。

(池上彰のニュースそうだったのか!! 11月30日OAより)

もっと意外なデータについての池上さんの解説を知りたい方はTVerへ!

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