伊豆諸島・鳥島の東海域で海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が訓練中に墜落した事故で、2機は同じ目標地点に移動しようとして、向き合うような形で衝突した可能性があることが関係者への取材で判明した。複数機で飛行する際は、管制側が高度差を取るよう指示するなど安全に留意することになっており、海自の事故調査委員会は当時の状況を慎重に調べている。
事故は20日夜、鳥島の東約270キロの海域で「対潜水艦戦」訓練中に発生。2機の搭乗員計8人のうち1人が死亡、7人が行方不明となっている。今回の訓練は、呉基地(広島県)に司令部を置く「第4護衛隊群」について、任務遂行の戦術技量が備わっているのかを護衛艦隊司令官が評価する「査閲」の一環として実施されていた。
哨戒ヘリはつり下げ式のソナー(探知機)の投下ポイントを変えながら、海中にいる潜水艦を探知、追尾していく。関係者によると、訓練は実戦に近い想定で行われ、2機は瞬時の判断や連携が求められる状況下で進路や高度が重なり衝突した可能性があるという。2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)は近接した場所で見つかり、データ解析で機体の異常は確認されていない。
海自では2021年7月にも鹿児島県・奄美大島沖で、哨戒ヘリ2機の回転翼の羽根が接触する事故があった。これを受けて海自は、搭乗員による目視及び利用可能なリソース(手立て)を用いた見張りの徹底▽管制側は複数機が同じ戦術場面で飛行する際は高度をずらすよう指示――など、安全確保を徹底するよう指示していた。【松浦吉剛】
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