ベトナム人の万引きグループの拠点を家宅捜索し、押収品を運び出す捜査員=埼玉県坂戸市で2024年11月27日午前9時17分、朝比奈由佳撮影

 ベトナム人グループが組織的に万引きを繰り返していたとして、警視庁捜査3課などは27日、盗品の集積拠点として使われていた千葉と埼玉、大阪の3府県の関係先計4カ所を窃盗容疑などで一斉に家宅捜索した。

 グループは、本国にいる指示役がSNS(ネット交流サービス)で実行役を募集し、全国各地のドラッグストアなどで商品を大量に万引きする窃盗を繰り返していた疑いが持たれている。警察当局は、国内外のベトナム人が結びつく「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみて全容解明を進める。

 捜査関係者によると、家宅捜索されたのは、埼玉県坂戸市のベトナム料理店跡や千葉県八千代市の住宅、大阪市の会社オフィスなど4カ所。

ベトナム人グループによる万引き容疑事件の構図

 これらの拠点は、万引き事件の実行役として窃盗容疑で逮捕されたベトナム国籍の男女4人の供述などから、盗品を本国に送る前の集積場所だった疑いが浮上。実行役らが万引きした商品を、この拠点に発送していたという。

 グループには、ベトナム本国に男女2人の指示役がいるとみられる。うち20代の女性は過去に、国内の万引き事件に関わったとして摘発され、強制送還されていた。

 指示役らは、SNSで万引きの「闇バイト」を募集。ベトナム人を中心に利用が広がっている通信アプリ「Zalo(ザロ)」に実行役らを誘導し、指示を出していた。応募した在留ベトナム人には、元技能実習生も含まれていたとされる。盗品は集積拠点から成田空港に運ばれた後、運搬役が航空機の手荷物としてベトナムに持ち込み、ベトナム国内で販売されていたとみられる。

 警察庁によると、2023年の来日外国人による万引き事件は2202件で、うち半数以上の1217件でベトナム人が摘発されている。警察当局は、国内に複数のベトナム人窃盗グループが存在し、ドラッグストアや衣料品量販店などで商品を大量に万引きしているとみている。【菅健吾、朝比奈由佳】

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