学習会で現在の袴田巌さんの状況などについて話す姉・秀子さん=福岡市中央区で2024年4月27日午後3時26分、志村一也撮影

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定し、やり直しの裁判(再審)が進行中の袴田巌さん(88)の「再審事件」に関する学習会が27日、福岡市中央区のカトリック大名町教会であった。姉の秀子さん(91)は「余生を死刑囚ではなく人間として、袴田巌として生きてほしい」と、再審で無罪判決が出ることを願った。

 袴田さんは66年8月に強盗殺人容疑などで逮捕され、80年に死刑判決が確定。2014年に静岡地裁が再審開始を決め、死刑と拘置の執行を停止して48年ぶりに釈放された。現在、静岡地裁で進んでいる再審は5月22日に結審の予定。

 学習会では袴田さんが逮捕された後、23日間連日10時間以上に及んだ苛烈な取り調べの実態を紹介。そして死刑執行を待つ中で拘禁症状が現れ、拘置所の食事は米粒を1粒1粒洗ってから食べていたことなど取り返しのつかない状況について説明した。

 秀子さんは「拘置所で隣の人の死刑が執行された後、妄想の世界に入るようになり、完全におかしくなった。釈放当初は家から1歩も出ずに汗がびっしょりになるまで家の中を歩き回っていた。今は毎日、支援者とドライブに行っている。100歳まで生かしたい。(結審するまで)ご支援をお願いします」と訴えた。【志村一也】

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