大阪地裁=大阪市北区で、曽根田和久撮影

 建築会社員の男性(当時44歳)が6年前に死亡したのは、時間外労働(残業)や炎天下での作業が原因の過労死だとして、遺族が労災と認めなかった国の処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は21日、請求を棄却した。横田昌紀裁判長は「特筆すべき身体的な負荷はなかった」と判断した。

 男性は兵庫県伊丹市の建築会社で勤務。2018年8月、戸建て住宅の建築現場で作業中、くも膜下出血を発症して約1カ月半後に死亡した。伊丹労働基準監督署は19年6月、死亡直前の残業時間が過労死ライン(月平均80時間)に達していないとして労災認定しなかった。

 2年後に改正された新たな基準では残業が過労死ラインに近い場合、過酷な労働環境に伴う身体的な負荷も考慮するよう規定。「炎天下の作業だった」と改めて訴えても国の審査会が労災と認めなかったことから、妻が提訴していた。

 判決は残業時間について、発症直前の2カ月間で月平均約70時間と認定した。そのうえで「暑熱環境での作業だったが、常に直射日光の下ではない。移動や休憩時間もあった」と述べ、特別に考慮すべき負荷はなかったと判断。業務によりくも膜下出血を発症したと認められないと結論付けた。【土田暁彦】

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