公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 下請け業者に自社が保有する金型や木型を無償で保管させたとして、公正取引委員会は21日、住友重機械工業の100%子会社、住友重機械ハイマテックス(愛媛県新居浜市)の下請け法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、再発防止を勧告した。

 ハイマテックスは鉄鋼の圧延ロールや艦船の係留に使われる鉄製の鎖など、金属製品を製造。部品を下請け業者に発注する際は自社の金型や木型を貸し付けており、公取委によると、遅くとも2023年4月から24年7月末までの間、5社に対し、当面は発注予定がないのに金型など計178個の保管を強要した。中には高さ2メートル、外径1・3メートルの巨大な円柱状の木型20個も含まれていた。

 ハイマテックスは金型などを回収するとともに、下請け側の被害額の算定、弁償を進めており、これまでに計319万6723円を下請け側に支払ったという。

 自社が保有する金型などの保管を下請け業者に強要する行為は、04年に下請け法の規制対象に加わったものの、長く摘発されていなかった。中小企業庁の指摘などで公取委が監視を強化し、23年3月の初勧告以降、今回で7件目。スペースを圧迫された下請け業者が土地を借りて保管していたケースも確認されている。【渡辺暢】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。