アフガニスタンで人道支援活動に取り組む福岡市のNGO「ペシャワール会」は16日、現地代表で医師だった中村哲さん(当時73歳)が武装集団の襲撃で亡くなってまもなく5年となるのを前に、事業の報告会を福岡市で開いた。中村さんが手掛けたかんがい事業は現在も順調に進んでおり、活動の原点とも言えるハンセン病の診療事業の再開も検討していることが伝えられた。
中村さんは2019年12月4日、アフガン東部ジャララバード近郊で武装集団に襲われ、同行した5人とともに命を落とした。
報告会には約420人が参加。村上優会長はあいさつで、アフガンの現状について「タリバンの復権で治安が安定した。日本人スタッフが年4回、合わせて半年間ほど現地で活動できるようになり、事業が順調に進んでいる」と語った。
会場では中村さんの生前の講演映像が流された後、「中村哲の希望を受け継いで」と題して、現地の実動組織「PMS(平和医療団・日本)」のメンバーが取り組みなどを報告した。技術支援チームの大和(おおわ)則夫さんは、中村さんが02年に考案した「緑の大地計画」を基に今年3月に新たな用水路が完成したほか、他国や国連食糧農業機関が造った用水路のトンネル修理や新たな砂防堤の建設に取り組んでいることを紹介した。
笹川保健財団の喜多悦子会長も講演。中村さんと最後に話したのはハンセン病診療への協力についてだったと振り返り、「絶対にやらなければ」と声を震わせた。中村さんが現地で最初に取り組んだハンセン病診療はその後、戦乱と干ばつの影響で休止している。村上会長は報告会の中で、診療再開についてアフガンの州政府から依頼されたことを明らかにし、「中村先生と一緒に治療していたチームが残っており、『もう一回始めたい』と言っている。我々の原点でもあり、大々的にはできないが復活させたい」と述べた。【池田真由香】
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