大分市で2021年2月、法定速度の3倍超の時速194キロで車を運転して衝突事故を起こし、相手の運転手を死亡させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)に問われた当時19歳の男性被告(23)=同市=に対し、検察側は15日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で開かれた裁判員裁判で懲役12年を求刑した。弁護側は危険運転は成立せず、刑罰の軽い同法違反(過失致死)が適用されるべきだと訴え、結審した。判決は28日。
検察側は公判で危険運転に当たる理由として①制御困難な高速度②妨害目的で接近(妨害運転)――の2点を主張。プロドライバーや視覚の専門家を証人申請し、立証してきた。論告では、時速194キロで走行した場合、道路の凸凹などによって運転操作を誤る恐れがあったと指摘。現場は右折車が来ることが想定される道路で「通行の妨害となるのは明らか」と述べた。被告は高揚感から速度超過を繰り返すようになったとし「運転の動機、経緯は極めて身勝手であり、厳しい非難に値する」と批判した。予備的訴因の過失致死罪が適用された場合は懲役5年に相当するとした。
一方、弁護側は最終弁論で「極端な高速度であっても、道に沿って走行できた場合は『制御困難』には該当しない」と反論。右折車を積極的に妨害する意図もなかったとし、危険運転は成立しないと改めて主張した。
被告は最終意見陳述で「私の甘い考えで身勝手な行動をしてしまったことに後悔の気持ちでいっぱいです」と述べ、遺族に向かって頭を下げた。
起訴状などによると、被告は21年2月9日午後11時ごろ、大分市の県道交差点で、法定速度が時速60キロのところ、乗用車を制御困難な時速194キロで直進。対向車線から右折してきた同市の会社員、小柳憲さん(当時50歳)運転の車を妨害する目的で接近して衝突事故を起こし、小柳さんを出血性ショックで死亡させたとしている。【神山恵、山口泰輝】
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