公園や街角に転がるたくさんのどんぐり。秋の風情を感じさせるが、廃棄物として処分されている。そんなどんぐりを食品に加工し、障害のある人々の働く場づくりにもつなげようと、福祉事業所「まちふく」(山口県防府市)が取り組んでいる。開所2年目の今年は、昨年の2倍の約600キロを加工するのが目標。まちふくで生活支援員を務める岩本美由紀さんは「障害のある人や地球に優しい社会をどんぐりから実現したい」と意気込む。【福原英信】
秋晴れの11月上旬、防府市内で障害者数人が、2時間ほどかけてどんぐりを拾い集めた。晴れの日は連日実施し、1回の作業で約15~20キロの収集。岩本さんは「どんぐり拾いの作業後は、明るい表情で戻ってくる」と笑顔で語る。
集めたどんぐりは、洗って天日干しした後、大きさや割れの有無で仕分ける。その後、どんぐりを竹べらでまんべんなく転がしながらいり、ペンチのような機器で殻を割って、中の実を取り出す。製粉機でどんぐり粉を完成させ、どんぐり茶やどんぐり煎餅、どんぐりドーナツなどに活用。インターネット上やイベント会場、まちふくなどで販売する。
まちふくの田中博士代表は、廃棄されているどんぐりが栄養価の高い食品になると知ったことをきっかけに、横浜で福祉事業所を開設。どんぐり粉づくりを手がけ、田中代表の地元でもある防府に2拠点目を開設した。どんぐりには多くのポリフェノールが含まれるなど栄養が豊富といい、田中代表は「どんぐりの食品化を、障害のある方の仕事の中で取り組み、障害者の社会的地位向上につなげていきたい」と力を込めた。
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