今年の「異例の暖かさ」は、各地に異変をもたらしています。

今月1日に、長野県内で最も早くゲレンデ開きをしたスキー場。全長およそ400メートルの2つのコースでは、朝から多くのお客さんが滑りを楽しんでいましたが。

報告・青木梨央ディレクター(軽井沢プリンスホテルスキー場)
「午前10時半の温度は12.9℃と暖かいです」

半袖や薄着で滑る人たちの姿がありました。

神奈川県から来た親子
「楽しい!」「きょうはすごい暑いくらいだね」

長野県内から来た人たち
「思ったより暑いです」「腕まくりしないと汗が止まらなくて」

スキー場ではオープンに向けて、先月から8基の造雪機を24時間フル稼働。

軽井沢プリンスホテルスキー場・中西剛さん
「9月10月が暖かい日が続きましたので、雪づくりの開始時期をいつもより4日ほど早めて。暖かい日を何とか乗り切ろうということで、オープン日にはきちんと雪を間に合わせた状況」

暖かさの影響で、去年よりも作業を早めざるを得なかったといいます。

軽井沢プリンスホテルスキー場・中西剛さん
「年々軽井沢も暖かくなってきたなという、肌感覚でもそうだし、温度を見ても年間すると1.4℃くらい上昇している感じも見受けられる。(コースを作る作業を)4日早く始めたということもそうですけれども、 非常に苦労しました。」

こうした“異常気象”は、海外でも。ヨーロッパの気象機関は7日、今年の世界の平均気温が、観測史上最も暑かった去年を上回る見通しだと発表しました。CNNなどによりますと、フランスのスキー場では、温暖化や雪不足を原因として閉鎖が相次いでいるといいます。閉鎖するスキー場のゲレンデでは、スキーシーズンのピークと言われる2月でさえ辛うじてコースがある程度で、地面がむき出しになってしまっていました。

■秋の風物詩 紅葉の色づきにも影響

異例の暖かさは、風物詩をも変えてしまっています。今日、私たちが向かったのは、「コンビニ富士山」として一躍有名になった場所です。目隠しのために設置されていた幕がいまは撤去され、再び多くの外国人観光客が訪れていました。今週、富士山では、130年の観測史上最も遅い初冠雪を記録。登山シーズンの終了後も気温が高い日が続いたことが、初冠雪の遅れにつながったとみられています。

観光に訪れた中国人留学生
「(思っていた富士山と)大変違いますね、雪がないからちょっと残念です」

その富士山を背景に、湖畔に並ぶ色とりどりの紅葉が同時に楽しめる山梨県の人気紅葉スポットへ向かってみると。

東京からの観光客
「(色が)青いですね、青い。1年前に来たときは終わりかけに近かった記憶」
東京からの観光客
「紅葉がまだ青くてちょっとまだ早かったかなと」

赤く色づいている葉っぱもありますが、まだまだ紅葉していないものも多く、見頃が例年より1週間から10日程ずれているといいます。

北河口湖観光協会・大町悦章さん
「回廊の中側、日陰のほうは青々としていますね/去年はもうここら辺は色づいていたりしたけど今年は特に遅いですね

もみじの木が川と遊歩道を覆うようになっている「もみじ回廊」。今日は緑や黄色のトンネルでしたが、例年であればこのような真っ赤に色づいた紅葉が見られるといいます。この状況に、河口湖の紅葉を30年近く見続けてきた人も、驚きを隠せません。

北河口湖観光協会・大町悦章さん
「通常だと防寒着を着てお客さんをご案内したりするんですけれども、未曾有って感じですかね、僕の中では考えられない暖かさです」

葉が色づくためには必要と言われる寒暖差。しかし秋まで暖かい気温が続き、冷え込みが弱かったため、全国的に色づきが遅れているとみられます。

■人気観光地では見頃前に“オーバーツーリズム”

京都・嵐山でも、葉っぱはまだ緑色。現場では、影響を心配する声があがっています。

嵐山商店街会長・石川恵介さん
「本当にちゃんと赤くなってくれるんだろうかというので茶色くくしゃくしゃになって枯れてしまう可能性もあって心配はしていますね。例年のようにきれいに色づくのかどうか、今年は来たけど『残念だった』と言われないか心配はしている」

見頃はまだ先ですが、すでに観光客でこの大混雑。様々な弊害も出てきています。

報告・小山颯ディレクター
「外国人観光客でしょうか、信号が赤ですが車が来ていますが渡っていきます。信号を無視して渡っていきます、車の目の前を横切ったり、道路に広がって歩く観光客の姿がありました」

警備にあたる人
「(これから紅葉の時期でもっと人増えると思うが?)これの3倍くらいになる。( 不安とか懸念は?)もう不安だらけですね、事故が起きないかどうか」

さらに、食べ歩きで出たとみられるごみが放置されている場所も。中には店の商品にごみを置いていかれることもあったといいます。そこで商店会などでは観光客が増える11月にあわせ対策を強化。買ったお店にごみを捨てるよう様々な言語で呼びかけたり応じてくれた人にはステッカーなどを配るなどの活動をしています。

お店の人
「(渡した人は)喜んでくれる、こっちから訴えかけていくことによって、お客さんも(ごみを)捨ててくれるんで」

対策の効果も出ていると言いますが、2週間後に紅葉が見頃を迎えるころには、マナーの悪化が懸念されます。

嵐山商店街会長・石川恵介さん
「比較的まだきれいなんですよ、みんなの努力して。でもう放っておくとみんな捨てちゃうと思う。必死でいま耐えている、なんとかきれいな街でいようと」

(11月9日 OA「サタデーステーション」)

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