水道料金の値上げは家計にも影響が出そうだ=2024年3月11日午前11時55分、北出昭撮影

 水道料金を値上げする自治体が全国で広がっています。愛知県では今年度、5市1町が値上げします。人口減少に伴う財源不足、水道管の老朽化、物価高騰……。あなたの町も決してひとごとではありません。【酒井志帆】

 愛知県によると、2024年度に水道料金を値上げするのは、一宮市▽豊田市▽田原市▽愛西市(八開・佐織地区)▽美浜町――の4市1町。また、新城市は昨年と今年の2段階で値上げを実施する。

5億円の財源不足

 美浜町の料金値上げは1982年以来42年ぶりだ。配水管(総延長19万8772メートル)は、2割超の管路が敷設から40年以上経過し、20年以上の管路も約8割に上る。老朽化による漏水発生を防ぐため、交換が必要。大規模地震に備えた耐震化工事も控える。

2024年度に水道料金を値上げする愛知県内自治体

 こうした整備を進めるのに、町が試算した結果、水道料金を現行のまま維持すると、28年度までの5年間で約5億円の財源不足となる。このため、水道料金を24年度と26年度の2段階で平均27%値上げすることを決定。町によると、今年7月の検針分から、家庭で一般的な口径13ミリの給水管で2カ月で40立方メートル使った場合、現行料金から1500円あまりの値上げになるという。

自己水源なく

 水道料金の減収や施設の更新に加え、各自治体の懐を圧迫する理由がもう一つある。愛知県営水道の値上げだ。

水道料金の値上げを知らせる愛知県田原市の広報=2024年4月17日

 県は、木曽川、矢作川、豊川の3水系を水源に、県内49市町村に水道用水を供給。1立方メートルあたり26円徴収しているが、24年度からは同料金を2段階で計6円引き上げる。22年ぶりの値上げだ。

 県によると、背景には、浄水場のポンプ運転にかかる電気料金や水処理に必要な薬品が高騰し、27年度までの4年間で75億円の赤字が見込まれるという。前出の美浜町には地下水などの自己水源はなく各家庭へ供給する水道水は県営水道に100%依存している。町の担当者は「今後(さらに)値上げを検討せざるを得ない」と話す。

値上げ率48%

愛知県美浜町内で行われた配水管の耐震化工事=2021年9月(同町提供)

 民間の研究グループが24日に公表した試算では、46年までに水道料金の値上げが必要な自治体などの事業者は、全1243団体のうち1199団体(96%)に上るという。値上げ率は、平均で48%だった。人口減少率が高い事業者や人口密度が低い事業者ほど、値上げ率は高い傾向にあった。

 また、厚生労働省によると、20年時点で全国の水道管(総延長約74万キロ)のうち2割が、法定耐用年数の40年を超えている。

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