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 入社して3年以内に会社を辞めてしまう、新入社員の離職率がここ数年、やや上昇カーブを描いている。厚生労働省の調べでは2020年に32.3%と、3分の1が3年以内に会社を辞めている。さらに最近の傾向では3年どころか1年未満、わずか数カ月で辞めるケースが多いという。名門の女子学院中学校・高校、さらに早稲田大学法学部という高学歴を持つゆいにゃさんも、大手IT企業に就職しながら、わずか2カ月で退職すると、次に入ったベンチャー企業を1週間で退職。今は学生時代にも働いていた秋葉原のコンセプトカフェで働いている。

【映像】メイド姿の女子大生が多数働くコンカフェ

 自分に合った働き方を探すため、今はコンカフェ嬢として働くゆいにゃさんだが、彼女のように新卒で入ったばかりの会社をすぐ辞めていく若者は後を絶たない。採用担当者からも、採用にかけるコストは大きく、また育成して戦力になったところで辞められては、その努力も水の泡だ。『ABEMA Prime』では、1年で2社を辞めたゆいにゃさんら当事者と、企業の採用担当者に話を聞き、若者の離職について考えた。

■履歴書的には満点な高学歴女子がスピード退職

 ゆいにゃさんの経歴は、新卒の履歴書としてはハイレベルと言えるものだ。中学・高校は“女子御三家”に数えられる名門の女子学院に通い、大学は早稲田大学法学部に入り、ストレートで卒業。学歴としては文句なしで、ことし4月から大手IT企業に就職した。午前7時30分に起床して8時30分に出社。午後6時に退社して、午前0時に就寝。手取り約23万円という生活を送っていた。ところがゆいにゃさんは、勤務先が自分にマッチしなかった。地方勤務になったことで「コンビニまで徒歩15分という環境がちょっとどうしても苦手で…。1日にビールを3本空ける生活になっちゃって、これはヤバい」と連日、家族に泣きながら電話した。会社には休職の相談もしたが、まだ入社して日が浅いこともあり、最終的には在籍2カ月で退職を決めた。

 続く2社目は7月入社。ベンチャー企業だったが、今度はわずか1週間で辞めた。「1回辞めてしまって、その分ハードルが下がっていた部分もあるとは思います。ただ土日に仕事をしても業務が終わらない状態で、これは身体を壊してしまうなと思い、退職しました」。その後、大学時代にも働いていた秋葉原コンカフェで働き始めると、給料は会社員時代の数倍に。「満足はしているし、しばらくは続けようと思います」と、コンカフェ嬢をしながら次の道を探すという。

■ひろゆき氏「わけがわからない理由で辞める人はとっとと辞めて」

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「『コンビニまで15分だから辞めたいです』というぐらいの人なら、とっとと辞めてもらった方がいい。わけがわからない理由で会社を辞めたい人と一緒に働いていて、プロジェクトを放り出して逃げる可能性がある」と指摘。また、すぐに会社を辞めてしまう新卒については「給料の高い会社、人気のある会社に入ろうとするなら、履歴書の時点でマイナスにしかならない」と、採用する側から考えて、履歴書の“傷”が残るようなことは避けた方が懸命だと述べた。

 実際、人間関係の悩みから1社目の地方銀行を数カ月、2社目の医療事務を1カ月で辞めたミヤナリさんも、履歴書についた“傷”に悩んだ。3社目に決まった工場は条件面には不満がありつつも、この会社に決まるまで実に50社以上の転職活動を行った。「3回目の転職はかなり苦労した。まず書類選考が全く通らない。早期で退職を繰り返しているのは、やっぱりネガティブに捉えられていた。面接で前職の退職理由を聞かれるが、最初は自分の都合のいいように嘘をついていたが、それでは通らなくて全部正直に話して受かったのが今の工場」と振り返った。これにも、ひろゆき氏も「傷がついているから50社に断られた。人間関係に不安があるとしたら、うちの会社も人間関係あるから辞めてしまうだろうとなってしまう」と述べた。

■採用担当者「育てても出ていかれるからタイパが悪い」

 企業の採用担当者にとっても、新卒採用は悩みの種だ。あるIT企業に勤め、採用を担当する田中課長さんは、すぐ辞めてしまう新卒への思いはたくさんあるが、企業側が新卒にこだわることも理解している。「業務への理解度が一律で研修しやすい」「会社色に染まる真っ白な人材が欲しい」「自社で育てた方が安上がり」「深い理由はないが前例踏襲」などが、主なものだ。ただし、実際には「育てても出ていかれるからタイパが悪い」「特に今の新卒は『転職前提』で入ってくる」ことから、田中課長さん自身は“新卒信仰”を捨てて、即戦力の中途採用を希望するタイプだ。ゆいにゃさんのように2カ月、さらには1週間で辞めてしまう新卒社員については「私の会社だと6カ月で(部署に)配属になるので、辞めるならその前に辞めていただきたい」と、どうせ辞めてしまうのであれば、戦力としてカウントする前で決断してほしいと語った。

 辞めたゆいにゃさんにとっても、無理して長く会社に居続けるつもりもなかった。「3年我慢したら長続きするという意見もあり、私も最初は3年勤めようと思っていたが、その3年間が無駄な時間になると思ったら、パッと辞める方がその後の時間を有意義に使える。何よりも自分が自分でなくなってしまうところがすごく怖かった。私は会社で働くこと、会社で働けるレベルの人間ではなかったという感じ」と自己分析した。また「私が一番思うのは、今の時代はSNSが発達して、多様性社会と言われている中で、定年まで働くことが必ずしも善じゃない世界、社会になった。その中で自分に合った生き方を見つけるのが、善とされているのかなとすごく思う」と、自分らしさを追い求めることが重要だと語っていた。
(『ABEMA Prime』より)

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