“過失運転”なのか、“危険運転”なのか。群馬県伊勢崎市で飲酒運転により家族3人が死亡したトラック事故と、以前番組で取材した暴走事故を巡り、相次いで大きな動きがありました。(10月12日 OA「サタデーステーション」)

■厳罰求める遺族「なぜ“過失運転”なのか」

今年5月、群馬県の国道で、中央分離帯を超え反対車線に突っ込んだトラック。この事故で、2歳の塚越湊斗くんら家族3人が死亡しました。
勤務先でのアルコール検査後に飲酒し、事故を起こしたとみられる鈴木吾郎被告(70)。
「危険運転致死傷」の疑いで逮捕されましたが、起訴内容はより刑の軽い「過失運転致死傷罪」でした。

“なぜ過失運転なのか”遺族が厳罰を求める中、11日に大きな動きがありました。
前橋地検が裁判所に、「危険運転致死傷罪」に起訴内容を変更する請求を行ったのです。

湊斗くんの母親
「率直にうれしかった、やっと私たちの声が届いた」

■宇都宮事故も“過失運転”→“危険運転”へ変更

去年2月、夫の一匡さんを亡くした佐々木多恵子さん。石田颯汰被告(21)の運転する車が、時速160キロを超える速さで、一匡さんの乗るスクーターに追突しました。こちらも当初、「過失運転致死罪」で起訴されましたが、11日、地裁が「危険運転致死罪」へ訴因変更することを認めました。

事故で夫を亡くした佐々木多恵子さん
「安心しました。土俵にあげてもらって感謝している」

■懲役の上限20年には“高い壁”

「危険運転致死傷罪」の刑罰は、最長で懲役20年。
しかし令和4年の「危険運転致死」の判決をみると、懲役10年を超えたケースは21件中4件と、2割にも満たないのが現状です。

事故で夫を亡くした佐々木多恵子さん
「去年起訴されたのが危険運転だったら裁判終わっているかというくらいの時間がたっている、本当に長かったです」

湊斗くんの母親
「これから厳罰に向けて私たちができることをできる限りの力でやっていきたい」

■「危険運転致死傷罪」適用の基準は?

高島彩キャスター
「『危険運転致死傷罪』は、どういうケースの場合に適用されるのか、判断が難しいようです」

板倉朋希アナウンサー
「適用の基準があいまいだという指摘もあります。そもそも2001年に悪質な運転を厳しく処罰するために制定されたわけですが、2024年2月から、その適用条件などについて法務省の有識者会議で見直し議論が進んでいます」

高島彩キャスター
「具体的にどういった議論となっているんですか?」

板倉朋希アナウンサー
「例えば、超過速度を決めることやアルコール濃度の基準値を定める等の案が出ています。ただし、数値を決めたら良いというわけでもなさそうです。交通犯罪に詳しい東京都立大学の星周一郎教授は、『数値基準を入れて法律の適用範囲を明確化するというのは1つの方法だとは思う』としつつも、一方で『酒酔いについては人によって酔い方が全然違う、スピードについても高速道路と一般の路地では同じ30キロオーバーでも全く違うので相当慎重な議論が必要』と指摘されています」

高島彩キャスター
「一概に数値基準を決めればいいというものでもありませんし、柳澤さん、その辺り難しいですね」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「基準を細かくすればするほど複雑になってきますし、適用も難しくなることも考えられます。考えようによってはシンプルに『飲んだら乗るな』というルールを明確にするということも必要だと思います。また、アルコールを摂取したら、車に乗った時にアルコールを検知し、車が動かないというような技術も必要になるのではと思います」

高島彩キャスター
「厳格化で抑止力にすると共に、技術を使って事故を防止し、両面で危険運転が起きないようにすることが必要ですね」

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