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増えすぎたシカによる被害が各地で深刻になっています。その1つが、シカが草を食べつくすことで起きる土砂災害です。今年7月に3度も土砂崩れが発生した山を取材しました。

■増え続け…30年で約9倍に

実りの秋。人里に降りてくる野生動物も増えてきました。そんななかで行われていたのは、農水省が支援する鳥獣被害対策に関するセミナー。

野生動物保護管理事務所 渡邉英之さん
「やはり一番大きな被害を与えている(山林の)機能を低下させているのがシカです。シカは何でも食べる。そして安定的によく増える」

今回の議題は山で増え続けるシカへの対策です。

岩手から参加した人
「岩手県内だと結構シカ自体は多くて。農作物を食べるというのは分かっていたのですが、あんなにひどいとは分かっていなかったのでびっくり」

現在生息するシカの個体数は246万頭。30年前から約9倍にまで増えました。冬になると寒さで一定数が自然淘汰されるシカですが、温暖化で冬が暖かくなったことや、ハンターが減少したことなど、増加には様々な要因が指摘されています。

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■“シカ食害”で土砂災害も

■“シカ食害”で土砂災害も

今年7月、滋賀県米原市で3度にわたって起きた土砂災害。けが人はいなかったものの、7軒の住宅が被害を受けました。その発生に影響したとされるのが、伊吹山に生息するシカたちです。適正とされるシカの生息数は1平方キロあたり2〜3頭。しかし、伊吹山に生息するシカは10倍にも上ります。

豊かな自然に覆われた山は、植物の根や住み着く生き物などによって地面に空洞ができています。雨が降っても、そうした箇所にきちんと水分が吸収され、すぐに土砂崩れを起こすことはありません。しかし、シカが食べることで山の植物が減ると、水分を吸収する力は失われ、加えて地面に直接雨が当たることになり、より崩れやすい状況になります。

伊吹山では実際に植物が大幅に減っているといいます。

米原市防災危機管理課 高橋淳一課長
「こういうふうに一気にひどくなってきたのは、ここ4〜5年。自然がなくなった伊吹山を見るとやっぱり悲しいですね」

米原市は調査の結果、7月の土砂災害はこうしたシカによる“食害”が一因と考えられるとしました。シカの個体数を減らすため、山の中腹に捕獲の罠を設置。ふもとで土砂をせき止めるネットを整備するなど対策を強化しましたが、かつての伊吹山を取り戻さない限り、安心はできません。

米原市防災危機管理課 高橋淳一課長
「なんとか元の青々とした自然に戻さないと、後々、下流の集落にも影響がどんどん出てくる。植物、自然と人と動物の適切なバランスに戻すことが大切。共存するということですね」

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