暑さが落ち着き、紅葉シーズンが近付いてきました。こうしたなか、富士山では一部の木々が色付く前に枯れてしまう現象が起きています。山小屋関係者も「70年住んでいるが初めての経験」と話す事態です。
■美しい黄色に染まる前に 紅葉に異変
今年の富士山にある異変が… この記事の写真秋の訪れとともに、例年であれば美しい紅葉が広がる富士山。しかし、今年の富士山にはある異変が起きています。
多くの観光客が訪れる須走口異変が起きているのは、多くの観光客が訪れる吉田口から直線距離でおよそ5キロの所にある須走口です。
この時期になると、黄色や赤に染まった美しい紅葉が広がり、観光客を楽しませてくれますが、今年は色付く前に葉が茶色く枯れてしまっています。
観光客「残念ですよね。毎年楽しみにしてる」 茶色に枯れているカラマツ
茶色に枯れているのはカラマツという木の葉で、去年と比べると、このような有様です。
静岡県が須走口周辺を調査報告を受けた静岡県が須走口周辺を調査。すると、この異変は標高1800メートルから2200メートルほどの範囲で広がっていました。長年、富士山の自然を見守ってきた山小屋関係者は次のように話します。
初めての経験だという 東富士山荘 米山千晴代表「初めての経験。私も70年ぐらいいるけど。(カラマツから)だんだん繭のように白い糸が生えるようになって、これはおかしい、病気かなと思って。ある時、下を見たら、こういった虫がいっぱいだった。朝掃除して200から300匹落ちている」
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■2センチほどの幼虫 正体は?■2センチほどの幼虫 正体は?
2センチほどの幼虫米山さんが見つけたのが2センチほどの幼虫です。2週間ほど前、カラマツ周辺で見掛けるようになったといいます。一体、この虫の正体は何なのでしょうか。
静岡県 農林技術研究所森林・林業研究センター
内山義政主任研究員
「ハバチ科という原始的なハチの仲間で、チョウやガのようにイモムシの形をして葉を食べる仲間」 小規模被害は北海道、長野県、東北などでも起きている
小さな規模でカラマツが枯れる現象は北海道、長野県、東北などでも起きているそうです。
大規模被害は10年、20年に一度しかし、大規模に枯れる現象となると、10年、20年に一度だといいます。
内山主任研究員「(Q.富士山で限定すると)私が把握している限りは承知していない」 専門家も経験したことがないという
専門家も経験したことがなく、データがほとんどないという異変。米山さんは、さらに被害が広がるのではと不安を抱いています。
米山代表「ここすごいよね。ねじれた所にイモムシがいる。これすべて、ねじれているでしょ。すべて葉っぱが。私も経験したことがない。ここまですべてのカラマツが」 ハバチ
専門家によりますと、ハバチは繁殖力が高く注意が必要ですが、天敵が多く、通常は鳥などに食べられてしまうといいます。
内山主任研究員「長期間にわたって被害が続いて、そのタイミングで台風で枝が折れるなど致命的な被害を与えることが追加で起こらなければ、カラマツが枯れることはないと考えられる」 対策できることはないという
殺虫剤をまいてしまうと他の昆虫も死んでしまうため対策できることはなく、見回りを強化して警戒を強めることにしています。
(「グッド!モーニング」2024年10月7日放送分より)
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