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 コロナ禍をきっかけに日本でも一気に進んだリモートワークだが、今国内外で再び従業員に出社を求める、あるいは義務付ける流れが生まれている。9月16日には、Amazonのアンディ・ジャシーCEOが、来年1月からリモートワークを廃止し週5日のオフィス勤務を義務付け、フリーアドレスも廃止すると発表。固定制のデスクを配置するとした。「過去5年を振り返り、オフィスで一緒にいるメリットが大きい」という理由だ。

 しかしこの発表に従業員からは戸惑いや抗議の声も上がっている。リモートワークが浸透した今、実際にオフィスで働く必要性はどこにあるか。『ABEMA Prime』では、実際にフルリモートを前提に引っ越してしまったAmazon本社に勤める社員に話を聞いた。

■フルリモート用に引っ越した社員、オフィスまで90分

 アメリカのAmazon本社でシニアプロダクトマネージャーを務める福原たまねぎさんは、昨年初めからフルリモートを前提に引っ越した。趣味のイカ釣りを楽しむために海の近くに住んだため、オフィスまではフェリーなどを乗り継いで75分から90分ほどかかる。ところが、引っ越して間もない5月から、会社は週3日の出社を義務付けた。さらに来年1月からは週5日の出社が決定した。リモートワークで十分働けていたというエンジニアからは強い反発もあったが、福原さん自身は肯定派だという。「僕個人としては週5日、オフィスで働くこと自体は意図が理解できる。みんな会社で集まって、直接物理的に話してコミュニケーションできる環境でコラボレートしようというのは目的がはっきりしている」と語った。

 エンジニアたちとプロダクトを作り上げる福原さんから見ても、リモートワークで不都合はなかったと感じていた。大きく売上が落ちたこともなかったが、ジャシーCEOが示した「オフィスで働く必要性」については出社の義務付け前から感じていたといい、「どういうプロジェクトを作った方がいいか、この問題をどう解決するかを議論する上で、エンジニアも自主的に会社に行っていた。その効果は僕個人でも十分認めていた。実際、物理的に同じ空間にいることで学ぶことや、相手を知るという意味では違いがある。エンジニアが、どんなキャラクターか直接話して学ぶところがあった。一緒に働けることには少なからずメリットもある」とも語った。

■リモートワークは効率的?人とのつながりにはリアルが優位?

 対面で働くことの効果については、番組出演者の中でも賛同者が多かった。エコノミストのイェスパー・コール氏は「リモートワークは効率が高いけれど、これは人間らしくない。人間と人間が何か偶然に話すのが、本当に会社の文化。自由なコミュニケーションを取ると、素晴らしいプロジェクトが出てくる。だから私は(週)5日(出社)はいいことだと思う」と述べ、インフルエンサーのYunaも「絶対に出社した方がいい。人はZoom越しでは好きになれない。その人の声色をちゃんと聞いて目を見て話す。好きという感情が結局仕事の根底にあると思う。感情論だが、感情で生きているのが人間」と同調した。

 一方で、コロナ禍前からリモートワークによって仕事を続けてきたのが、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏だ。現在もフランスを拠点に世界の人々とネットでつながり、1度も直接会ったことがない人との仕事は、いくらでもある。「完全ITの会社については、リモートでもいいと思う。英語圏で月に4000万人ぐらいに使われているサイトを9年やっているが、スタッフに1人も会ったことがない。コロナ前から全部リモートで、特に問題は起きていない。僕は昔からオンラインでやっていたので、2チャンネルでも15年ぐらいで1回しか会ったことがない人とずっとやっていた。オンラインでどう仕事をするかというノウハウが僕にはある」と述べた。

 ひろゆき氏の意見に、福原さんは「リモートワークだけで回っている企業もあるし、基本的にここから先は経営者がどういうスタイルで従業員と働きたいかによる。例えばDropboxというクラウドストレージ型のサービスを運営する会社のドリュー・ヒューストンは、10%は会社で働いて、残りの90%はリモートワークでいいと言っている。テック業界でも、有名な投資家のマーク・アンドリーセンが、最近アメリカで上場したスタートアップ企業には、本籍地・オフィスすらないと言っていた」と応じた。

 海外では経営者が直接的なコミュニケーションを重視した結果、コロナ禍以前のようにオフィス勤務に戻す動きが見られるようになった。国内でも楽天グループ、ホンダ、GMOインターネットグループが、在宅勤務から出社重視、もしくは原則出社への切り替えを進めているが、今後も同様の企業が増えるか注目される。
(『ABEMA Prime』より)

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