3

能登半島の豪雨災害から10日。輪島市久手川町で行方不明になっている、中学3年生の喜三翼音さん(14)とみられる遺体が見つかりました。見つかったのは、現場から150キロ以上離れた福井県の沖合でした。父親の鷹也さんが胸の内を語りました。

■衣類のタグには“喜三”の文字

翼音さんの父・喜三鷹也さんは捜索活動を見守り続けました。

翼音さんの父 喜三鷹也さん
「よく見つかったなと。『おかえり』と声を掛けたいです。一日一日見つかってほしいという思いでなんとかいました。一生懸命捜索してくれる方々を信じて、絶対見つけてくれるだろうという思いで過ごしていました」

事態が動いたのは先月30日、翼音さんの自宅があった場所から150キロ以上離れた福井沖で、翼音さんとみられる女性の遺体が見つかりました。身に着けていたズボンのタグには、手書きで「喜三」の文字が。父の鷹也さんが1日、写真で服を確認しました。

翼音さんの父 喜三鷹也さん
「娘の服で間違いないと思いました。本当に見つかってくれてよかったです。今まで捜索してくださった警察・消防・自衛隊・海上保安庁・地元の漁師さんに、この場を借りてお礼を言いたいです。本当にありがとうございました」

翼音さんの父 喜三鷹也さん
「大阪に行って、妹の子どもが生まれたんですけど。楽しみやねと笑いながら道中話していたのが印象的です。輪島が今こんな状態なので、金沢のどこの高校に行くか確実には決まってなかったけど、とりあえず金沢に住みながら学校に通いたいと。本人の希望通りにしようと思っていました。ちゃんと勉強して公務員になりたいと言っていました」

翼音さんの父 喜三鷹也さん
「ちょっと怒りっぽいところもあったんですけど、本当に素直で優しい子だったと思います。僕の言うことはあまり聞かなかったんですけど、最後に僕が電話で『長袖長ズボンを着てくれ』と言ったのを守ってくれてたみたいで。長袖と長ズボンを着てました。僕の言うことを聞いてくれたんだと思いました」

地震から9カ月。そして、大雨から10日です。この雨による死者は13人に上り、今も2人の安否が分かっていません。

次のページは

■住民らを悩ます断水と粉じん

■住民らを悩ます断水と粉じん

輪島市町野町の道路沿いには、地震なのか豪雨の影響なのか、家が傾き、車がすれ違うのも大変な状況です。住民たちは1日も、泥まみれになった家財道具の片付けに追われていました。

町野町に住む 瀬野千草さん(80)
「(Q.これはどうする予定)このまま持って行ってもらわないと。水害ゴミで持って行ってくれるということになったらしいので。出してさえ分類さえしておけばね。(Q.また使いたいものも)こんなに泥だらけになったらいらないわもう。大雨の方が心が折れました。何もかもなくなった。泥だったから。地震は物が見えますでしょ。例え取れなくても、今度解体した時に引っ張ってもらおうという気持ち」

町野町では今でも一部地域で断水が続いており、限られた水で泥を落とす人も。さらに、住民を苦しめているのは、溜まっていた土砂が乾き始め、砂埃が舞うことです。荷台にタンクを積んだ軽トラックが水を撒きますが、その効果は限定的です。

ボランティア団体も悩まされています。

NPO法人リエラ 松永鎌矢さん(34)
「(Q.マスクをしているが)吸い込むとせきが出たりする。場所によっては、店の中だと色んなものが混ざって、虫が湧いてきたりしている」

次のページは

■解体作業員も“今は流木撤去”

■解体作業員も“今は流木撤去”

輪島市での公費解体率は、8月末まででわずか5.7%です。地震で被害を受けた家屋などの解体作業で、広島からやってきた業者に話を聞きました。

解体業者『信心』山崎優常務
「今は流木の撤去、主に。(Q.解体はできてない)できてないですね。止まっていますね。僕らだけでも2〜3カ月は多分遅れてくるとは思う。もうちょっと業者が入ってくれて、撤去が進めば全然違うとは思う」

地元で解体業を営む鍛元さんは、豪雨で想定外の被害があったと話します。

鍛元重機 鍛元裕社長
「被害はダンプの水没が自社が2台ほど、下請けが2台。もう多分廃車ですね」

さらに、従業員の宿舎も使えず、作業場の環境も厳しい状況が続いています。

鍛元重機 鍛元裕社長
「(宿舎のある)町野町に関しては食事も水道もないんで止まった状態。その辺はちょっと大変。まわりから遅い遅いと言われている部分を加速させて、その辺を払拭したい。(復興を)遅らせたくない。遅らせない」

輪島市は、水害に関する被害状況はまだ不明としていますが、来週からエリアを回って現地調査など行うとしています。

・100年以上“猛暑日知らずの街”今年も「エアコンは使っていない」移住の相談は約2倍 さらに、夏でもサウナが味わえる“涼しい街”も・「川に白い水が流れている」で発覚 38年間トイレなどの汚水垂れ流し・「魔の交差点」事故多発 見通しが良いのになぜ?緊急取材 カメラが捉えた衝突の瞬間・リスク抱え追悼「集会」 在日中国人たちがどうしても伝えたかったこと 中国・深セン日本人学校男児殺害事件

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。