女児が電車にはねられた上信電鉄の踏切=群馬県高崎市吉井町小暮で2024年4月6日午後0時40分、日向梓撮影

 群馬県は30日、4月に遮断機も警報器もない第4種踏切で女児が電車にはねられ死亡した事故を受け、県内に上信電鉄、JR、上毛電鉄、わたらせ渓谷鉄道の計74カ所あった第4種踏切について、半数近い33基を廃止したか廃止方向になったと発表した。6基は遮断機・警報器のある第1種踏切を設置する方向。第1種踏切は高額なこともあり、約半数の35基は地域住民との協議が難航。県は安全性を高められるよう促す。【田所柳子】

 事故は4月6日朝、高崎市吉井町の上信電鉄の第4種踏切「天水踏切」で発生。犬を追いかけて踏切に入ったとみられる近くの小学4年生、渋沢姫星愛(きらら)さん(9)が2両編成の普通電車にはねられ死亡した。

 事故を受け、県は同月、廃止か第1種への転換で全ての第4種の解消を促す方針を発表。地元自治体と鉄道事業者、地元住民の早期協議を勧めた。これまでに廃止して通行不能にしたのは桐生・富岡各3、高崎2、前橋1、長野原1の計10基。富岡6など8基は今後の廃止を予定し、15基は廃止に向け協議が継続中。事故が起きた天水踏切を含む高崎4と前橋1の計5基は2025年度に第1種化を予定し、1基が第1種化を協議している。

 事故時、県内の踏切は700カ所あった。これまでも危険な第4種踏切の解消を掲げてきたが、地元では住民の通行需要がある一方、第1種踏切への転換は数千万円かかるとされ、廃止や第1種化は年1基程度と、長年足踏み状態だった。事故で大きく動いた形で、県担当者は「大きく前進した。残りも安全性を確保できるよう方向性を出したい」と話す。

 県が助成を要望していた手動踏切は、少ない費用で一定の効果があるとされ、国も助成を決定。県はどうしても協議が進まない踏切については手動踏切も検討する方針という。

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