支援者が掲げたタブレット端末で袴田秀子さんからのメッセージを見る原口アヤ子さん=鹿児島県内の高齢者施設で2024年9月29日午後2時17分、取違剛撮影

 1966年に静岡県で起きた4人殺害事件で死刑が確定した後、静岡地裁のやり直しの裁判(再審)で無罪判決を受けた袴田巌さん(88)の姉秀子さん(91)からの動画メッセージが29日、同じく冤罪(えんざい)を訴えて再審請求を続ける原口アヤ子さん(97)=鹿児島県=に届けられた。これまでの支援への感謝を伝える内容。原口さんの支援者が「次はアヤ子さんの番だよ」と励ますと、原口さんはうなずくような仕草を見せた。

 動画は約20秒間。26日に言い渡された無罪判決の翌朝に撮影された。原口さんを見舞うなど交流してきた秀子さんが「アヤ子さん」と呼びかけ、「皆さんのおかげで無罪を勝ち取りました。ありがとう」と感謝を伝えた。高齢者施設で寝たきりの原口さんは、この日に初めて袴田さんの無罪判決を知らされ、支援者からタブレット端末で動画を見せられた。支援者は「アヤ子さんの無罪判決まで頑張ろうね。みんな応援しているよ」と語りかけた。

 原口さんは、79年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人罪などで服役。95年から再審請求し、これまで鹿児島地裁などで計3回、再審開始が認められたが、いずれも上級審で覆された。現在は4回目の再審請求の審理が最高裁で続く。【取違剛】

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