能登半島を襲った豪雨で車の水没や流出が相次いだことを受け、被災住民に車の無償貸与を行っている団体に注文が殺到している。長期利用できる車両が19台準備できているのに対し、26日夕までの6日間で6倍以上の127件の申し込みが届いた。生活維持に車は欠かせず、団体は北陸3県をはじめ全国に車両の寄付を緊急的に呼びかけた。
無償貸与を行う「災害サポート・レンタカー」制度を運用しているのは、一般社団法人・日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)。東日本大震災後、25の被災地で活動しており、能登半島地震では被災者に1カ月ごと更新の長期利用で479件、最長3日間の短期利用で3457件、車両を提供してきた。
水害では石川県輪島市と珠洲市の仮設住宅で床上浸水被害が発生。車の多くが水没して使えない状態になった。河川氾濫で流された車もあり、同協会の地震後の提供車も被害を受けているという。
車を置いたまま、両市外に避難した被災者も多く、避難先で車が必要になることも多い。被災者にとって不可欠なサービスとして知られており、26日夕までに長期利用127件、短期利用28件の申し込みがあった。
短期利用は軽トラックなどを提供するのに対し、長期利用は乗用車が中心で対応しきれない情勢だが、需要はまだ増える見込みという。27日に石川県庁で記者会見した吉沢武彦・同協会代表理事は「被災者は地震との二重被害を受けた。使っていない車があれば、ぜひとも」と強く呼びかけた。
対象車両は、車検満了日まで3カ月以上あり、多雪地帯のため所定のスタッドレスタイヤ装着車両。被災地の道路事情が悪く、車両の破損が起きやすいため所有権を保持したままのリース提供は受けていない。関東や近畿からの申し出も歓迎で、現地までの運搬はボランティアによる対応が可能という。
提供希望者は電話050・5482・3178(平日9~18時、当面は土日も対応)かホームページ(https://www.japan-csa.org/benefaction/car.php)。被災者の貸与依頼は電話050・5482・3677(平日9時半~16時)かホームページから。【竹中拓実】
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