建て替えが検討される熊本市役所(右後方)と延伸が計画される熊本市電(手前左)=熊本市中央区で2024年9月22日午後3時22分、中村敦茂撮影

 熊本市議会の9月定例会は25日、予算決算委員会の締めくくり質疑があり、市役所建て替えや市電延伸の関連費を含む補正予算案を賛成多数で可決した。27日の本会議でも可決の見通し。市役所建て替えには慎重論もあったが、実現に向けた動きが本格化する。

 市は現庁舎の耐震性能不足などを理由に、本庁舎を中央区桜町に、現在は本庁舎と一体の中央区役所を同区花畑町にそれぞれ移転新築する方針。事業費の概算を616億円と見込む。合併推進債の期限に間に合わせるため、基本計画策定・基本設計・実施設計などを一括契約する18億8430万円の債務負担行為を案に盛り込んだ。

賛成多数で市役所建て替え関連費を含む補正予算案を可決した熊本市議会予算決算委員会=2024年9月25日午前11時55分、中村敦茂撮影

 全議員47人による予算決算委はこの日、委員長と欠席1人を除く45人で採決を取り、39対6の賛成多数で補正予算案を可決した。

 質疑では自民系2会派の一つ、熊本自民(12人)の高本一臣委員が専門家の評価が割れる現庁舎の耐震性能について「いまだに議論も多い」と指摘。事業費については「財政の健全性を維持できるのか」と懸念を示した。採決では、高本氏ら熊本自民の3人のほか、共産の2人と無所属の1人が反対した。

 建て替えの動きは今後、基本計画策定など具体化していく見込みだが、議会の一部に慎重論が残る。市民有志も住民投票に向けた署名集めを開始。議論は今後も続きそうだ。

 一方、市電の延伸は2031年度の全線開通を目指し、東側終点の健軍町電停から1・5キロ先へ延ばす計画。今回可決された関連費は実施設計費など4億2000万円。【中村敦茂】

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