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 千葉県柏市に、科学の面白さを次世代に伝えるため“手作りの科学館”を作った男性がいる。奔走する男性の思いとは。

■アパートに科学館 来場者数はもうすぐ7000人突破

子どもたちに人気の科学館 この記事の写真

 千葉県柏市にある、子どもたちに人気の科学館。骨格標本がズラリと並び、顕微鏡で岩石を観察できるコーナーや化石発掘、水晶の取り出しなどの体験もできる。

科学館には“ある特徴”がある

 館長を務めるのは、羽村太雅さん(38)。実は、この科学館には“ある特徴”がある。

羽村さん
「ここが私が館長を務める『手作り科学館エクセドラ』です」

 JR柏駅から徒歩5分。住宅街にひっそりとたたずむアパート。科学館には見えないが、中に入ると、ご覧の通り。

科学館には見えないが、中に入ると… 羽村さん
「ここにいらっしゃる人10人に8人くらいは、迷ったとか分かりづらかったとおっしゃる気がしますね」

 社会と市民を科学でつなぐ取り組みを行う団体の理事長も務める羽村さんが、誰もが気軽に楽しめる科学館を目指し、2018年にオープンした「手作り科学館エクセドラ」。

 古代ギリシャ・ローマ時代の建物にあった、ベンチが並べられた「団らんの場」を意味する「エクセドラ」から名付けられたという。

 基本的に土日のみの営業だが、地元だけではなく県外からも多くの人が訪れ、来場者数はもうすぐ7000人を突破するという。

 羽村さんは、なぜ、アパートを科学館にしようと思ったのか?

なぜ、アパートを科学館に? 羽村さん
「自分が(東大の柏キャンパスで)研究していた時に、この面白さを多くの人と共有したいとか、そういう気持ちを持っていたので」

 「もっと科学の面白さを知ってほしい」と、東京大学の大学院生だった当時、同じ思いを抱く仲間と科学を広める団体を立ち上げた。

 そして、科学のイベントを開催するなど、精力的に活動を続けていた。

羽村さん
「イベントに来ない人達にはアプローチできないぞということに気づいて。いつでも科学に触れられる場所を作ろうと思って」 借りられたのは「空き家」。築30年以上の2階建てのアパート

 ただ、学生サークルにはお金がない。そこで目をつけたのが、柏市で問題になっていた「空き家」だった。

羽村さん
「ほとんどの人が『そんな所ないよ』と言ったんですけど、ひとりが大家さんを紹介してくださって」

 借りられたのは「空き家」になっていた築30年以上の2階建てのアパート。

 もちろん資金もないので羽村さんたちは、自らの手で改修を始めた。

羽村さん
「どんどん分からないことが出てくるし、困りごとだらけ。だけど、やり方を教えてくれたり手伝ってくれたりして。そういう人に支えられて、なんとかここまで形ができたかな」 改修を始めて1年半で完成

 改修を始めて1年半、まさに“手作りの科学館”が完成した。

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■羽村さんは…定期的に地域でのイベントも運営

■羽村さんは…定期的に地域でのイベントも運営

手作りならではの魅力

 多くの人の思いがつまったこの科学館には、手作りならではの魅力がある。

羽村さん
「説明書きを少なくして、スタッフとのコミュニケーションの中で、展示物の意味とか魅力というのをお伝えできるようにしたいと思っている。その展示が作られた意味をきちんと伝えられないままにしておくと、それはすごくもったいない」 顕微鏡でみた岩石のかけら

 例えば、こちらは顕微鏡でみた岩石のかけら。通常は「きれい」などの感想で終わってしまうが…。

スタッフ
「大きな違いないじゃん、色は」 子ども
「あるよ。こっちは黒い点々あるのに、こっちは薄い膜が広がってるだけ」 スタッフ
「でも、それくらいじゃない?目で見える違いって」 子ども
「こっちのほうがキラキラしてる」

 素朴な質問にもスタッフが細かく説明するなど、丁寧に対応するアットホームさが売りだという。

 手作り科学館でスタッフとして働く学生は、こう話す。

大学院生のスタッフ 大学院生のスタッフ
「探求活動をこちら側も一緒にしていくような。コミュニケーションを大切にというのは(羽村さんが)日ごろおっしゃっているので…」

 そのほかにも…。

スタッフ
「アライグマに変身だー!」 ほぼすべての展示物に触ることができる

 ほぼすべての展示物が、見るだけでなく、触ることができる。

羽村さん
「実物を触ってもらって、そこから何か考えてもらう。そういうきっかけづくりができたりとか、科学というのは、それを見る人使う人、その人間によってどうとでも料理される」

 「疑問を投げかけること」や「じかに触れて体験すること」が、科学の本質を理解するうえで重要だと羽村さんは考えている。

羽村さん
「銀色のところをおさえて、のぞきながら回してごらん」
「ここの筋肉があるから、ゴリラは口をしめられる」 定期的に地域でのイベントも運営

 羽村さんは市や学校などからの依頼で、定期的に地域でのイベントも運営している。

イベントに参加した子ども
「知らないことも、いっぱい見つけられて楽しかった」

 また、子どもたちのための科学教室「研究部」を2年前から始めた。小中学生が対象のこの活動で、授業や講座のような知識を学ぶのではなく「自分で研究テーマを設定」し、それに取り組む。「自発的に考える力」を養う目的があるという。

館長の羽村太雅さん(38) 羽村さん
「次の世代を育てることができれば、この人たちがまた新しい場所で、さらなる発見や発明、科学を一歩先へ進める取り組みができるかもしれない。科学がみんなにとって役立てられるといいなと思って活動しています」

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■羽村さんの思い描く未来図は?

■羽村さんの思い描く未来図は?

羽村さんの思い描く未来図

 空き家だったアパートを利用して、次世代に科学の面白さを伝えている羽村さんの思い描く未来図を描いてもらった。

 絵には「自然が広がる外の空間」と「研究エリア」を来館者が垣根なしに、自由に行き来できるイメージが描かれている。

 科学に対して、一般の人たちからは敷居が高いと感じられることがあるという羽村さん。閉じられた場所で研究を行うのではなく、誰もが気軽に見ること、参加することができる壁がない科学館を目指したいと話している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年9月23日放送分より)

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