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 元日の地震で甚大な被害が出た石川県の能登地方。復旧や復興を目指すなか、今回の大雨が襲いました。被害の全容が少しずつ分かっていっています。

■中3女子不明 父親「逃げられないって」

川に落ちかけている住宅 この記事の写真

 橋に打ちつけ道路にあふれる濁流。石川県珠洲市では住宅が半分ほど川に落ちかけ、輪島市では流木が大量に住宅のほうに積みあがっています。

 能登半島はまたしても、自然災害に苦しめられました。

48時間の雨量…輪島市は498.5ミリ、珠洲市は394.0ミリ

 3連休前半、被災地を襲った豪雨。輪島市で降った48時間雨量は498.5ミリ。珠洲市では394.0ミリと、それぞれたった2日間で2カ月以上の雨が降りました。

スーパーでも床上まで浸水

 さらにスーパーでも床上まで浸水。外では車体のほとんどが水につかった状態で流されていました。

 この大雨で石川県では4人が死亡、9人が行方不明となっています。

 輪島市久手川町では、中学3年生の少女を含む4人と連絡が取れなくなりました。

父親が胸の内を明かした

 行方不明の娘・喜三翼音さん(14)を心配する父親が胸の内を明かしました。

娘が行方不明 父親
「(Q.発生当時、お父さんはどこに?)仕事、市内で。7時半くらいに家を出て。息子は朝6時くらいにサッカーの試合で輪島駅まで送った。嫁さんともう1人の娘が運動会だった。8時半から9時の間に家を出てるんですけど、娘1人だけずっと寝た状態で、学校も休みだったんで。近所の人に聞いて、娘にすぐ電話した」

 喜三さんは5人家族。午前9時ごろから家には娘1人でした。

父親
「娘は寝てたし、電話の音で起きたのかなと思うが、外見たら海みたいになってるって。土石流で道路が見えない状態で、多分それで家が押されて部屋の扉も開かないって。逃げられないって言っていたから、2階の部屋にいるしかないと言って2階にいてくれましたよ。10時ごろには音信不通に。つながらなかったので、そのころには流れてたのかなって」

 父親は会社から急いで戻ろうとしましたが…。

父親
「街中が冠水していて車じゃ帰れないと、歩いて向かった。回り道回り道してたら昼の1時半ぐらいになっていて。自分の目で見た時にはもうすでに家がなくて基礎が残ってるだけでした」
「(Q.何回か時間をかけて翼音さんの名前を呼んだ?)もしかしたら返事をするかもしれないし、どこかにいたらと思って」

 翼音さんの捜索は、23日も行われる予定です。

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■土砂崩れが発生し、トンネルで一晩「死ぬかと」

■土砂崩れが発生し、トンネルで一晩「死ぬかと」

土砂崩れも至る所で発生

 被害は大雨による浸水にとどまらず、土砂崩れも至る所で発生しました。

 輪島市の中屋トンネルでは能登半島地震の復旧作業が行われていました。この中屋トンネル、25日には地区住民の車や緊急車両向けに通行を開始する予定でした。

 付近では複数人の工事関係者と連絡が取れず、220人態勢で捜索が行われた結果、14人が救出されました。うち2人は死亡が確認されました。

救助された人
「一晩過ごしました。雨の中」
「(Q.1日待つ間どんな気持ちでしたか?)いつ来てくれるか、もう一晩ここにいないといけないのか、3日も4日もいないといけないのか、それとも野垂れ死ぬのかなんて。全然連絡取れないもんでね」
「(Q.土砂崩れには直接は巻き込まれなかった?)直接は巻き込まれてません。ほんの後ろ、10メートルくらいまでどばーっと来てたけど」 深田地質研究所 千木良雅弘理事長

 専門家は、今回の中屋トンネル付近での土砂崩れは正月の能登半島地震が影響している可能性があると指摘します。

深田地質研究所 千木良雅弘理事長
「中屋トンネルの出入り口だけじゃなくて周りたくさん崩れていますよね。あれは、ちょっとびっくりしたんですけど。地震の時には中屋トンネル近くの地質はそんなにたくさん崩れてなくて、地震の時にわーっと揺すられて、タガが外れていたところに雨が降って崩れたのじゃないか」 地震との二重被害

 1月の地震との二重の被害は市街地でも…。

橋本香代子さん(69)
「お手あげ。もう住めない」
「ここに水が入ってるってことは、ここまで来てる」
「(Q.今、水とか出てるのですか?)水出ないです。水が出ないと掃除も…何もできないです」 3カ月前に仮設住宅に移り住んだが…

 1月の地震で自宅が全壊した橋本さん、3カ月前にこの仮設住宅に移り住んできたといいます。

橋本さん
「地震は全壊って分かったから、おうちが全部つぶれちゃったという意味で全部捨てようと思ったから、必要なものだけ持ってここへ来たんだけど。今度これがまたダメになっちゃったから、もうがっくり。もう心折れました。気丈には大丈夫だよって言うけど、主人も病気だから、私が動かないと回らないです。だから頑張らないと、という感じで。どこ行くんだろう、この次」

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■度重なる自然災害に「神も仏もない」

■度重なる自然災害に「神も仏もない」

家の前の国道が冠水

 番組は珠洲市で35年間、写真館を営み、地震の被災者としてSNSに発信をしている男性を取材しました。

 21日朝、家の前の国道が冠水していました。

kenseiさん(67)
「道が川になるのなんて初めて。この何十年生きてきて。もうひどかったですよ。長靴は役に立たなかったですね」 車が落ちてしまっていた

 上戸町では川が増水し、橋が陥没。車が落ちてしまっています。

 Kenseiさんが川と化した道を歩いていると目の前に家が。

kenseiさん
「あれ?こんなところに家が建っているって最初、キョトンとしたんですよ」 家1軒分押し出される

 山側から押し寄せた土砂によって家1軒分押し出されています。この家に住んでいた高齢女性は避難し、無事だといいます。

 これらの動画を水につかりながら撮影したというkenseiさん。どのような思いがあるのでしょうか。

kenseiさん
「目の前に驚くようなことがあればカメラを向けるのは我々の性質でして、それをずっと続けて今に至ってるだけですね。僕にできることは何かなって考えた時に、コツコツ写真を撮っていこうと」

 能登半島地震からの復興に尽力してきた中で見舞われた、まさかの大雨。度重なる自然災害に言葉もありません。

kenseiさん kenseiさん
「本当にもう泣きたくなりますね。神も仏もないとしか言いようがないんですよ。オーマイゴッドですよ」

(「グッド!モーニング」2024年9月23日放送分より)

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