能登を襲った大雨。トンネル付近で、作業員ら13人が救出されました。そのうち男性2人が心肺停止の状態だということです。

■秋雨前線が活発化 全国各地で大雨

前方の視界は激しい雨の影響で見えづらくなっています。新潟県・佐渡市では土砂災害警戒情報が出され、佐渡市・相川では48時間で158.0mmの雨を観測。
(住民)「側溝がたぶん詰まってるんじゃないかと思うんですけど…」
島内の林道などでは土砂崩れが発生し、ところどころで通行止めに。
雨は九州・宮崎県でも。
(西森眞実記者)「フロントガラスに大粒の雨が打ち付けています。」
道路脇の法面からは、雨水が滝のようにあふれています。
宮崎では1時間に58.5mmを観測、宮崎空港では視界も悪く、雷雨の影響で立ち往生する飛行機も。悪天候により遅延など、空の便にも影響が出ました。

■市街地は冠水「裏山がどっと崩れた」

(草薙和輝アナウンサー)「一気に雨が強くなってきました。激しい雨で窓ガラス、先の方がかなり見えづらくなっています。」
元日の大地震で被災した能登半島。今度は記録的な豪雨に見舞われました。
(草薙和輝アナウンサー)「午前10時石川県の輪島市、まだ弱い雨が降り続いています。降った雨の影響で目の前を流れる川、茶色く濁った水が勢いよく流れています。そして対岸には住宅もあるのですが、山が広い範囲で土砂崩れを起こしています。」
輪島市などに出されていた、大雨特別警報は午前10時10分に警報に切り替わりましたが、降り続ける雨の被害は至るところで。市街地の道路では、冠水が続いていました。
(草薙和輝アナウンサー)「こちら輪島市役所の目の前を流れる川なんですが、あちら橋の欄間に大量の木が引っかかっています。川の流れをせき止めてしまっている状況です。」
山に近い集落では、住民の避難が進められていました。
(草薙和輝アナウンサー)「この先、規制線が張られているんですが、今その奥にですね、消防の方でしょうか、奥のほうへと進んでいきます。」
地元の区長によると、この日の朝の雨で、土砂崩れが起きたと言います。
(輪島市杉平町 宮坂雅之・区長)「8時半頃に裏山がどどどっと崩れてきた。」
Q.朝、土砂崩れが起きた?
「8時半ごろ、近所の人、音を聞いてびっくりして来たら、家がこうなって、土砂が入ってきたと。」
(草薙和輝アナウンサー)「取り残されていた住民でしょうか。今、大人1人とお子さん2人が消防隊とともにこちらの方に歩いてきます。お母さんですかね、女性も荷物多く抱えています。」
さらにもう一人。まだ足元を水が流れる中での避難です。これで集落に残っていた全員の無事が確認できたと言います。

■地震で復旧工事中…3日後に一部開通予定

一時、5人が行方不明になっていた、輪島市の中屋トンネル。
(山田英寿記者)「中屋トンネルの出入口です。土砂はトンネルの半分を埋めています。茶色の土砂と木々、流木がたくさんあるのが分かります。山が削られ、茶色い木肌が見えています。木々はなぎ倒されています。そして道路を横切るように水も濁流となって流れています。」
能登半島地震の復旧工事を行っていた最中の土砂崩れでした。これは今月初めの中屋トンネル復旧工事の様子。3日後の25日には、1車線の片側通行で一部の車両が通行できる予定でした。国土交通省によると、作業員ら5人と連絡が取れていませんでしたが、21日、作業員1人の安全が確認され、22日午後、交通誘導員が救出されました。
(救出された交通誘導員)「いつ来てくれるのか、もう一晩ここにおらんといかんのか、全然連絡も取りようないので。」
Q.お体にけがなどは?
「大丈夫です、けがはありません。精神的に参っただけです。」
消防によると、中屋トンネル付近では13人を救出。そのうち男性2人が心配停止ということです。

■娘探す父「どんな形でも見つかって」

(藤井友里記者)「輪島市久手川町です。町を流れる塚田川が氾濫し、こちらには3軒の建物が建っていたそうなんですが、いまは基礎だけが残っています。」
跡形もなくなった住宅。ここに住んでいた4人と連絡が取れなくなっていました。
(藤井友里記者)「住宅があった場所からおよそ1km下流のこの場所で、警察と消防による捜索活動が始まりました。」
行方不明の娘を心配する父親は…
(娘の翼音さん(14)が不明 喜三鷹也さん(42))「どっかにおったらと思って…とにかくどんな形でも見つかってほしい願いだけですね。」
電話で話したという母親は…
(翼音さんの母親)「『高いところに逃げてね』と言って『わかった』と、それが最後ですね。暗くなる前に見つけて欲しいです。」
「行方不明者が見つかったんでしょうか、いま担架が運ばれて行きました。」
見つかったのは高齢男性で、死亡が確認されました。今回の大雨で、石川県などによると、2人死亡、10人が不明となっています。

■仮設住宅も浸水 東北でも農作物影響

(草薙和輝アナウンサー)「足元、かなり泥が残っていますね。」
輪島市内の仮設住宅では、床上浸水の被害が出ました。
(仮設住宅が床上浸水 橋本香代子さん(69))「お手あげ。もう住めないですもんね。」
後片付けに追われる、橋本さん。
Q.色変わってますね。この高さまで?
「そこまで来てましたね。」
仮設住宅の中は泥だらけに。水が出ないため、片付けも思うようには進みません。
Q.地震があったときは輪島市内に?
(橋本香代子さん)「そうです。全壊で、もう壊しましたけれど」
地震で自宅を失い、7月にようやく入居できたと言います。
(橋本香代子さん)「もう心折れました。気丈に『大丈夫だよ』って言うけれど、主人も病気だから、私が動かないと回らないです。だから頑張らないと。」
輪島市で降った雨量は498.5mm。珠洲市では394.0mmと、それぞれたった2日間で2カ月以上の雨が降ったことになります。
この大雨を降らせたのは、台風14号。1週間前(15日)にマリアナ諸島で発生した台風14号は北上して、19日に沖縄本島を通過。その後、中国大陸に上陸した後、進路を急に東に変え、黄海に抜けました。21日、温帯低気圧に変わりましたが、そのまま東に進み、秋雨前線を刺激し、東北地方にも大雨を降らせました。

(長岡幸平記者)「山形県酒田市に来ています。こちらの川なんですけども、大雨の影響で増水し、流れが速くなっています」
降り続いた雨は、収穫時期を迎えている“米どころ庄内”を直撃していました。
(農家 池田徹さん(60))「収穫が21〜22日(きのう、きょう)の予定だったんですよ。この雨で延期になりました」
100年以上続く、コメ農家の池田徹さん。コメ不足が続くなか、早く新米を届けたいものの、しばらく刈り取りができない状態だと言います。
(農家 池田徹さん)「コンバイン(収穫機)が入るんですけど、水が抜けないとコンバインがぬかるんでしまうので、早く(雨が)やんでほしいですね」
48時間雨量213.0mmと、9月として観測史上最大を記録した酒田市。この雨は旬を向かえているナシの品質にも影響を与えていました。
(農家 池田徹さん)「雨が降ることで甘みが落ちますね。やっぱり(ナシが)水分をどんどん吸いますので」
雨の影響を少しでもなくそうと、降りしきる雨のなか、収穫を急ぐ池田さん。
(農家 池田徹さん)「収穫が秋の短期間じゃないですか。収入がそこしかないから、この雨で収入や収穫量が減るのが一番不安ですね」


9月22日『サンデーステーション』より

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