家政婦として長時間労働をした末に死亡した女性について、労災と認められなかったのは不当だとして遺族が国を訴えた裁判で、東京高裁は1審判決を取り消して労災と認めました。
当時68歳だった女性は2015年、寝たきりの高齢者の家に1週間住み込みで家政婦や訪問介護ヘルパーとして働き、勤務後に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡しました。
女性の夫は妻が過酷な労働を強いられていたとして労災を申請しましたが、家政婦は個人の家庭に雇われる「家事使用人」にあたり、「労働者」ではないとして労災を認めませんでした。
女性の夫は国に処分の取り消しを求めて裁判を起こしましたが、1審の東京地裁はおととし、訴えを退けました。
女性の夫は控訴し、今月19日の判決で東京高裁は「家事業務と介護業務は会社との雇用契約に基づき会社の業務として行われた」として、女性が「家事使用人」にあたるとした判断について「違法なものと言わざるを得ない」と指摘しました。
そのうえで、1審の判決を破棄し女性の死亡を労災と認め、遺族補償給付の不支給などの処分を取り消しました。
判決後の会見で、女性の夫は「正しい判決をして下さったことに本当に感謝している」とコメントしました。
厚生労働省は「判決内容を十分に精査するとともに関係機関とも協議したうえで適切に対応したい」としています。
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