退職代行サービスの利用者で、上司からハラスメント被害を受けた、または退職を止められたと訴える人はいずれも3割にのぼる、とのアンケート結果を退職代行サービス運営会社がまとめた。大企業で退職代行の手続きが繰り返され、64回にのぼる人材派遣企業もあった。
退職代行の利用者は20、30代で8割
退職代行サービス「モームリ」を運営するアルバトロス(東京・谷本慎二社長)が、2022年3月~24年7月の利用者(累計)1万5934人にアンケートし、1万5744人から回答を得た。
男女比は半々で、20代が6割、30代が2割で全体の8割を占めた。最年少は15歳、最高齢は71歳だった。
サービス利用の理由(複数回答)は、「上司から各種ハラスメントを受けている」が最多で33・9%。「上司から退職を止められている」が30・2%と続いた。
具体的には、「上司から会議中に怒鳴られる」「私生活に干渉される」との訴えがあった。「何度も退職を申し出たが、上司に強く引き留められ、精神的に限界を迎えたため、退職代行を使わざるを得なかった」との回答もあった。
業種別ではサービス業が12・5%で最も多く、製造業(12・1%)▽医療関連(9・1%)▽営業(8・5%)――が目立った。
医療関連では、看護師の相談が多く、過酷な夜勤業務や長時間労働が理由に挙がるという。ある女性看護師は「体力的にも精神的にも限界を感じたが、職場の人手不足で退職できなかった。代行サービスを使うことで、ようやく辞めることができた」と振り返ったという。
目立つ人材派遣業
アンケート期間の2年4カ月で、20回以上の退職代行の手続きが取られた22社は全て従業員1000人以上の大企業だった。人材派遣会社が9社を占め、そのうちの1社は64回にのぼった。41回のコンビニチェーン企業もあった。
モームリの担当者は「人材派遣業は雇用元と就業先が異なるため接する人数が多くトラブルが生まれやすい。管理職も派遣先にしわ寄せがいくことを防ぐため、強引な引き留めが横行するのではないか」と分析している。
モームリは弁護士の監修を受けて、正社員や契約社員は2万2000円、アルバイトの場合は1万2000円で退職代行の手続きを引き受けている。【隈元悠太】
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