東京電力は17日、福島第1原発で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の初回収に向けた試験取り出しに使う装置に異常が確認され、作業を中断したと発表した。遠隔操作室のモニターに装置先端のカメラの映像が映らなくなったという。作業再開の見通しは立っていない。作業の中断は2回目。
東電は10日、福島第1原発2号機で試験回収に着手。13日まで釣りざお式の取り出し装置を押し込む作業を進め、14日以降は取り出し装置の動作確認などを進めていた。
東電によると、15日まではカメラの映像に異常はなく、14日には装置先端にある器具が燃料デブリに接触したことを確認した。16日は作業を休み、17日朝にカメラの電源を入れたところ、装置についているカメラ計4台のうち、2台がとらえた映像が映し出されるはずのモニターにカラーバーしか映らなくなっていた。電源などを確認したが、映像が見られる状態にならなかったという。
17日は燃料デブリをつかむ動作に入る可能性もあったが、カメラ2台分の映像が取得できないことを受けて、試験取り出しに向けた作業を中断した。東電は記者会見で、再開のめどについて「まずは原因を確認する。(再開時期は)状況次第だ」としている。
燃料デブリは1~3号機に約880トンあると推計される。回収は福島第1原発廃炉の最難関とされるが、試験取り出しの入り口段階で作業中断が続いている。
東電は8月22日に試験取り出しに着手する予定だったが、装置を押し込むパイプの接続ミスが判明し、作業を中断。作業手順を見直した上で約3週間遅れの今月10日に再開した。再開当初、東電は燃料デブリをつかむまでに約1週間、つかんでから取り出すまでに約1週間の計2週間かかるという見通しを示していた。【木許はるみ】
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