官公庁や企業の不正をただす公益通報を巡り、消費者庁は罰則の導入を含めた制度の見直しを検討している。各地で対応の違法性が指摘されるケースが相次ぐ中、有識者による検討会で対策の強化を求める意見が根強いのが「通報者捜し」への対応だ。
兵庫県では、斎藤元彦知事が告発文書の存在を把握した直後、同じく疑惑を指摘された片山安孝副知事(当時)ら県幹部と協議。片山氏らが通報者やその情報源の特定を進めていたことが明らかになっている。
公益通報者保護制度を所管する消費者庁の新井ゆたか長官は5日の記者会見で、「兵庫県の問題のみならず、一般企業でも通報への対応や体制の不備が指摘されている。制度として足りないところがあれば改善していく」と述べた。
消費者庁が設置した検討会は5月から課題を議論し、中間の論点整理を9月2日の会合で示した。
通報者捜しは、2022年の改正公益通報者保護法の施行に合わせて政府の指針で禁じられたが、条文には明記されていない。検討会では「通報者を探索する行為に刑事罰を規定すべきだ」などという声も上がっている。
また、通報者への不利益な取り扱いの禁止を巡る罰則の新設も検討課題に挙がっている。現行法は公益通報を理由にした降格や減給などの処分を禁じているが、罰則規定がない。検討会は年内に報告を取りまとめる方針で、消費者庁は一連の議論を踏まえて制度の見直しを検討する見通しだ。【芝村侑美】
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