月に1冊も本を読まない人が6割超に上ることが、文化庁が17日に公表した2023年度の「国語に関する世論調査」で判明した。同じ調査項目が設けられた08年度以降では最も多く、初めて5割を超えた。スマートフォンやネット交流サービス(SNS)の普及が原因とみられ、文化庁の担当者は「読書離れを顕著に示しており、国語力の養成に影響が出かねない」と危機感を示している。
調査は24年3月、全国の16歳以上の個人6000人を抽出して郵送で実施。59・3%にあたる3559人から有効回答を得た。
1カ月に読む本の冊数を尋ねる質問は08年度以降、5年ごとに実施。23年度調査で漫画・雑誌を除く書籍(電子書籍含む)を「1冊も読まない」と回答したのは62・6%で、18年度の前回(47・3%)から15・3ポイント増えた。過去3回の調査はいずれも46~47%台で、急速に増えた。
「1冊以上読む」は36・9%で、前回(52・6%)より15・7ポイント減少。冊数の内訳は「1、2冊」が27・6%、「3、4冊」が6・0%と続いた。性別でみると「0冊」に男女の差はほとんどなかった。年代別の分析ではいずれの年代でも男女問わず「0冊」が最多だったが、年代や地域によらず本を読まない人の割合はまんべんなく高かった。
こうした結果を裏付けるように、読書量についての質問で「以前に比べて減っている」と回答したのは69・1%で、前回(67・3%)から1・8ポイント増えた。一方で、本を読まないと回答した人にインターネットで記事などを読む頻度を尋ねる項目では「ほぼ毎日」との回答が75・3%と最多だった。文化庁は「活字離れとは言い切れない」との見方を示す。
文化庁は読書離れが進んだ要因を「スマートフォンやタブレットは18年度の調査時点ですでに普及していたが、利用できるアプリやサービスが多様化して利用頻度が高まり、読書の時間に取って代わっているため」と推測。「読書は情報収集ツールとして効果的であり、思考力を深めて人格形成をする上でも利点がある。国語力を養う活動の一つでもあり、本に触れる機会を確保するのは重要だ」としている。【斎藤文太郎】
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