飲酒運転とみられるトラックが乗用車に衝突し家族3人が死亡した事故で、危険運転致死傷の容疑で逮捕された鈴木吾郎被告(69)が、法定刑のより軽い過失運転致死傷罪で起訴されました。

今年5月、塚越湊斗くん(2)、父親の寛人さん(26)、そして、湊斗くんの祖父・正宏さんと3人で乗っていた車に、中央分離帯を猛スピードで乗り越えてきたトラックが突っ込み、死亡しました。トラックを運転していた鈴木被告は基準値を超えるアルコールが検出されたため、先月、危険運転致死傷の容疑で逮捕されていました。

会社の呼気検査では異常がなかったことから、検査からトラックに乗るまでの間に酒を飲んだとみられています。

裁判所に提出された起訴状には、“アルコール”という文字はなく、「進路を適正に保持しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのに、これを怠った」とあります。事故の要因は、飲酒ではなく、不注意というのが前橋地検の現時点での判断でした。

鈴木被告に関して、新たに取材でわかったことがあります。鈴木被告は、以前、勤めていた会社でも、酒にまつわるトラブルがあったそうです。

鈴木被告の元同僚
「アルコールチェックは、少なくとも2回くらいひっかかって、謹慎になっていた。新年会で酒を飲んで暴力沙汰になったこともある」

遺族は「到底納得できない」と会見で訴えました。

亡くなった塚越湊斗の母親
「とにかくなんで?という気持ちが強かったです。明らかに故意で飲んでるもので、なぜ、それが危険運転にならないのか。それが過失になるのなら、なんでもありな運転になってしまう」

危険運転致死傷罪の上限が懲役20年なのに対し、過失運転致死傷罪は7年と量刑に大きな差があります。どちらの適用となるのか、事故が『故意』だったのか『不注意』だったのかに左右されます。

危険運転は、飲酒運転によるある事故をきっかけに制定された法律です。
25年前、東名高速道路で、家族4人が乗った車に飲酒運転のトラックが追突し、当時3歳と1歳の姉妹が亡くなった事故です。

亡くなった姉妹の母親(2001年)
「飲酒運転の車という凶器を振り回す殺人と何ら変わらない」

こうした遺族や被害者、さらに、国民の声を受けてできたのが危険運転です。

子どもと夫の写真に、毎日、話しかけているという湊斗くんの母親。ただ、起訴については。

亡くなった塚越湊斗の母親
「『過失運転で起訴されたよ』とは、まだ手を合わせては言っていない。なんとかして危険運転になるように捜査は続けてもらいたい」

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